285 / 1069
第285話
飯食って、順番に風呂に入って、タオルで髪の水気を取りながら城崎を待つ。
城崎は有言実行の男だ。
宣言されたからには、俺は今日めちゃくちゃに愛し尽くされるのだろう。
心臓をバクバク打ち鳴らしていると、風呂を終えた城崎がリビングに現れた。
濡れた髪をタオルでわしゃわしゃと雑に乾かしながら、下にジャージを着ただけのその姿は、腕や腹や胸の筋肉をひけらかしている。
本人は自慢のつもりではないだろうが。
普段の数倍エロくて格好いい。
「上も着ろよ…、風邪ひくぞ?」
「どーせすぐ脱ぐし。」
「ばっ…、も、知らねぇ!」
恥ずかしいから気をつかうフリして言ったのに、城崎は恥ずかしげもなくそんなことを言う。
城崎が俺に近づくたびに、俺の心臓は期待と羞恥で鼓動を打つ速度を上げる。
「髪、乾かしましょうか。」
「いい…っ、自分でやる…から……っ」
「俺が先輩の髪に触れたいんだけど。駄目?」
何度も言ってるかもしれないが、城崎のそれには弱い。
日本全国どこ探しても、ダメなんて言うやついないだろ。
無自覚イケメン怖い…。本当怖い…。
「…………駄目じゃない…けど……」
「ん。」
城崎はふわっと笑って洗面所にドライヤーを取りに行った。
何なんだよ、すぐベッド行くのかと思ったわ。
俺は風邪ひいちゃダメで、自分はいいのかよ。
絶対子どもできたら過保護なタイプだわ、こいつ。
丁寧に髪を乾かされ、気持ちよくて目を瞑る。
気持ちいい。
このまま寝ちゃいたいなんて考えてると、見透かされていたのかドライヤーの音が止んだ。
「先輩、寝ちゃダメですよ?」
「………だよな。」
「先輩が熱くしてくんないと、俺、風邪ひいちゃう。」
「ぶっ…!ば、バカ!てか、おまえの髪は?」
「乾かす時間が惜しいです。ベッド行きましょ、先輩。」
本当に自分のことは後回し。
俺のことだけは宝石のように丁寧に扱ってくれる。
嬉しいけど、心配だ。
ベッドに座らされて、唇が重なる。
少し離れて、また重なって、
何度もそうしているうちにどんどんキスが深くなっていく。
ゆっくりと押し倒されて、腕をベッドに縫い付けられる。
気持ちいい。
気持ちいいけど、いつもなら胸とか下とか触ってくれんのに、今日はただひたすらキスだけで攻められる。
時々熱くて硬くなった城崎のソレが太腿に当たって、その度に期待で身体を大きく震わせる。
「先輩、可愛い。」
「…ふっ、しろ…、んんっ」
城崎、
そう呼びたいだけなのに、唇をすぐに塞がれて声を発することもできない。
やばい。キスだけでイキそうなくらい気持ちいい。
頭、おかしくなりそう。
ともだちにシェアしよう!