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第287話

部屋に差し込む陽の光で目を覚ます。 なんかすげぇいい夢見た気がするな…。 城崎と結婚して、子どももいて。 男なんだから、叶うはずないんだけど…。 目の前で気持ちよさそうに眠る城崎の頬を撫で、やっぱり夢なんて現実味ないよなぁ、なんて思う。 俺は今のままでも十分幸せだけど。 「せんぱい…?」 「おはよう、城崎。」 「おはよ……ございます…」 寝起きの悪い城崎はレアだ。 それに珍しく後処理もしていないようだし。 お互い一糸纏わぬまま、抱き合って眠っていた。 それに時折太腿に触れる城崎の下の毛がカピカピしてる。 「風呂入る?」 「もうちょっとだけ…このままがいい……」 「ん。いいよ。」 ぎゅーっと抱きしめられ、擦り寄って甘えてくる。 うわ、マジでかわいい。 いつもはかっこいいのに。 ギャップっていいな…。 城崎は目を閉じ、相当疲れていたのか、すぐに小さな寝息を立て始めた。 そういえばここ数日、急いで帰ったりバタバタしてて、加えて昨日は残業だったもんな。 そりゃ城崎でも疲れるに決まってる。 「俺ももう少し寝るか。」 城崎が俺を抱きしめて寝るから身動き取れず、まぁ特にすることもないのでこのまま抱き枕になっておこうと思う。 会話もなく、すぐ目の前に城崎がいると、「好き」が溢れ出てきてしまう。 本当に好き。どう考えても俺には勿体無いのに。 どうして俺を選んでくれたんだろう? てかそもそも、城崎は何で恋愛対象が男なんだ? モテすぎると女はいい…ってなっちまうとか? でもこいつ、絶対男にもモテると思うんだけど…。 「城崎……、大好き。」 眠っている城崎の唇に、自分の唇を重ねる。 こういうことすると大抵起きるんだけど、今日は本当に疲れてるのか全然起きる様子はない。 これもしかして、何してもバレなかったりする? 試しに乳首を触ってみたり、首筋に舌を当ててみたりするが、少し身じろぐ程度で全く起きる様子はない。 電池が切れたおもちゃのように反応のない城崎を前にして、俺が何もしないという選択肢を選ぶはずがなかった。 いつも恥ずかしくてできないこととか、興味あるけど城崎は嫌かなと思ってできなかったこと。 城崎の反応はないにしろ、触れることができると思うと、すげぇワクワクしてきた。 「城崎……」 俺は両手を城崎の後頭部に回し、何度も何度も唇を重ね合わせた。 城崎はいつも俺の唇を柔らかいと言うけれど、俺は快感に夢中で城崎の唇の感触を意識することが少ないから。 舐めたり()んだりして、城崎の唇の形や感触をしっかりと自分の中に落とし込む。 寝起きだから少しカサカサしていた唇が、俺の唾液でしっとりと濡れて、それを見て何だかとても高揚した。

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