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第310話

会社に着いて朝礼。 その後、俺と城崎と涼真が部長に呼び出された。 「また先輩と出張かな?」 「そうだといいな。」 「本当おまえら仲良いなぁ。」 三人で話しながら部長の元へ向かう。 城崎は俺と出張だと信じてやまない様子だ。 「お、来たか。」 部長は横に並んだ俺たちに書類を手渡す。 「望月、柳津は名古屋に、城崎と私で大阪に出張だ。今回名古屋組は一泊二日、大阪組は三泊四日、詳細はそこに記載しているからきちんと目を通しておくように。くれぐれも体調管理には気をつけるんだぞ。」 「「「はい。」」」 俺と涼真か。 隣に立つ城崎は返事こそすれど、目が死んでいた。 部長は気づいてなさそうだけど。 「城崎は二回目の出張だからな。前よりも有名な企業だし、プレッシャーはあるかもしれないが、私が支えてやるからな。」 「部長……」 「なんだ?」 「早く契約付けたらその分早く帰れますか…?」 「んー、まぁそうだな。早く終わったら観光してもいいな。大阪はいいぞ〜。私が案内してやろう!はっはっは!」 部長……。 それ以上城崎を絶望させないでくれ…。 表情が部長にも分かるレベルに歪んできてるから……。 「じゃあ解散。出張の前準備優先で進めてもらって構わないからな。」 それぞれデスクに戻るため散り散りになろうとする中、城崎は俺の服の裾をギュッと掴む。 周りを確認して、城崎の歩む方向に付いていく。 到着したのはトイレ……。 「しろさ……、んっ!」 「無理……。先輩と四日も離れるなんて無理。」 「ちょっ、城崎…っ?」 「俺今泣きそうです…。はぁ…、キツイ。仕事できない。無理。」 個室に入るなりキスされて、泣き言を言われる。 相当ショックだったのか、雰囲気というか、表情や声でわかる。 頭を撫でてやると少しは落ち着いたのか、ゆっくり息を吸って、そして盛大なため息を吐いた。 「社員旅行の前に先輩不足で死にそう。」 「ま、毎日ビデオ通話しよう…?」 「三泊四日とか長すぎる…。先輩とだったら嬉しくて飛び上がってたのに……。」 「仕方ないって。上の采配(さいはい)だし…。」 城崎は泣きそうな顔で、俺に何回もキスしてくる。 「一日目のおはようといってきます、最終日のただいまとおやすみを除いて12回キスできない…。先輩と三日間一緒に寝れない…。俺寝不足になっちゃうかも……。」 「今まで会えない日だってあったじゃん。そんなキスしてなかったし。」 「先輩ドライすぎる…。俺、もう先輩がいない生活なんて考えられない…。」 ちゃっかり数えてるし。 いや本当、つい最近まで別々に暮らしてたし、なんなら半年前までは付き合ってもなかったじゃん。 俺そんなにドライなのかな? 「とりあえず仕事戻ろう?みんな心配してるかも。」 「はい……。」 言いくるめてデスクに戻ると、涼真は察したようで苦笑いしていた。

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