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第319話

スマホを受け取って、またベッドに横になる。 城崎は優しい顔して俺に話しかけた。 『先輩、俺とのこと言っちゃったの?』 「うん。なんかいつのまにか言っちゃった。」 『相手は選ばなきゃですよ。まぁ、俺は先輩が俺との交際をちゃんと受け止めてくれてるの嬉しいですけど。』 「ん〜。」 『先輩が嫌がらせとかされたら、俺悲しいし。だから、親しい人以外には話しちゃダメですよ?もし何かあったら俺が守りますけど。』 「城崎、好き〜。」 『俺も大好きです。』 まるでいつもみたいに隣で横になってるみたい。 城崎の声、本当落ち着くなぁ。 画面を見つめていると、城崎の視線がちらちら下に移動する。 「なに?」 『いや、浴衣はだけてるから…。乳首とか…見えてるっていうか……』 「城崎のえっち。」 『だ、だって…!てか、それを言うなら先輩の方がえっちですよね?!見せつけてきてますし!!』 「見たい?」 『…………見たいです…けど……』 照れてる城崎可愛い。 スマホをヘッドボードに立て掛けて、浴衣の帯を(ほど)いた。 肩から浴衣を下ろすと、城崎の喉が上下に動く。 『先輩……、綺麗。』 「綺麗じゃねーし…。」 普通にガタイ良い方だと思うし、ちょっと鍛えてる程度の至って普通の男の体って感じで、あまり綺麗という表現は似合わない気がする。 なのに、城崎は舐めるように俺の体を見つめていて、すごく恥ずかしい。 『俺の付けたキスマーク、()えてますね。』 「も、もう…。それのせいで涼真に引かれたし!」 『は?今なんて?』 「えっ?」 『柳津さんに見せたんですか?』 「あ、いやっ、見せたっていうか、その、着替えさせてもらった時に…っ」 『着替えさせてもらったぁ?』 やば。墓穴掘った…。 りょ、涼真〜、ごめん……。 「俺がそのまま寝ようとしたからなんだよ。ごめん…。」 『あの人、絶対コロス。』 「し、城崎ぃ…。」 『あー、なんかムカつく。』 「どうしたら許してくれる…?」 『何でもしてくれるんですか?』 「………できることなら。」 俺は城崎のペースに乗せられているのに気付かなかった。 城崎はさっきまで怒っていたのが嘘みたいに、城崎は『じゃあ〜』と楽しそうに条件を考える。 もしかして俺、はめられた? 『今から俺の言うこと、従ってくださいね。』 間違いない。 この顔は絶対、してやったりって顔だ。 下手(したて)に出てしまった俺は、城崎の言うことに従う他なかった。

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