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第320話

「し、城崎…、もうこれ以上無理……っ」 『もっとですよ。もうちょっと広げないと見えないでしょ?』 城崎の言う通り、指示に従っているけど…。 すっっっごく恥ずかしい!! スマホを立て掛けたまま、俺はベッドの上で脚を開いている。 でも城崎の要求はもっとその先で、指でアナルを開いて見せることだった。 恥ずかしくて自然と脚が閉じてしまって、その(たび)に指摘されてまた脚を開く。 スマホからある程度距離があるから、顔が真っ赤なのもバレバレなんだろうな…。 『先輩?最近毎日俺とシてたんだから、もっと広がるでしょ?』 「も……、無理だから…っ」 『じゃあ俺の、入んないね?』 「………っ」 『奥の先輩がだぁい好きなとこ、擦ってあげられないですね。』 「やだっ……!」 『じゃあもっと広げて?』 恥ずかしい。 恥ずかしくて仕方ないけど、でも城崎に挿れてもらえないのはもっと嫌だ。 今広げたって、今城崎が挿れてくれるわけじゃない。 それが堪らなく寂しくて、泣きそうな顔を隠すように俺は顔を伏せたまま、指先に力を込めて城崎に恥部(ちぶ)(さら)す。 『あー………かわいい。先輩、可愛い。ごめんね、恥ずかしいですよね。でも俺、めちゃくちゃ元気出ました。』 「…………」 『先輩?どうしたの?』 恥ずかしいことさせられたのに、謝って可愛い可愛い連呼されて、ズルい。 涙がぽろぽろ溢れてきて、顔が上げられなくて固まる。 『先輩、もういいですよ?それより先輩の顔みたいな〜…なんて思ってるんですけど…。』 「………」 『せんぱーい?』 俺は画面を伏せたまま、ビデオ通話を音声モードに切り替える。 スマホを耳に当てて、城崎の声に耳をすました。 『先輩??やりすぎた?ごめんなさい。』 「…………しぃ。」 『え?』 「……寂しい。城崎、会いたいよぉ……。」 無理なのは承知の上で、城崎を困らせるだけってわかってるから言いたくなかったのに。 城崎の声を聞いてたら、思いが溢れ出てきた。 今の声で泣いてるのもきっとバレたし、本当格好悪いし。 まさか一日ももたないなんて。 城崎に三泊四日くらいなんて馬鹿にしたのに、絶対笑われる。 そう思ってたのに、スマホから聞こえてきた城崎の声は存外に優しかった。 『先輩、日付変わるまで起きてられる?』 「え?」 『今22時だから……、んー、うん。先輩、俺のスマホに位置情報送っといてください。』 城崎は焦ったようにそれだけ言って通話を切った。 どういうこと……? 俺はとりあえず言われたまま、位置情報を城崎に送信した。

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