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第323話

「はっ…ぁ、城崎っ…!城崎っ……!」 「……っ、あー……、ヤバ。」 「イクっ!あっ、あ…、ふ…ぁ……っ!」 城崎が腰を打ち付けるたびに、快感と、痛みと、喜びの波が押し寄せる。 無我夢中で与えられる快感に身を任せていると、城崎が俺に耳打ちをする。 「先輩、しーっ……。ここ壁薄いから、聞こえちゃうよ?」 「…っ!」 「隣り、柳津さん泊まってるんですよね?」 「ふっ…、っ……」 声を抑えろなんて、本当意地悪な男だと思う。 しばらく会えないと思ってた。 まさか会いにきてくれるなんて思わなかったから、気分が高揚して今日は殊更(ことさら)感じている気がする。 声を我慢しようとすると体に力が篭り、中がキュゥっと城崎を締め付ける。 もうすぐ城崎もイクだろうなって、何度もシてるから感覚的にわかるのに、城崎が俺の中から出て行こうとするから、足を城崎の腰に絡み付けて固定した。 「ちょ、先輩っ…!」 「中で出せばいいじゃん…。」 「今日ゴムしてないし…っ!中出ししたら明日に響くでしょ…。も、離して…っ」 「いいから。中で出していいから、このままがいい。」 「前トイレ篭ってたでしょ。明日大事な仕事なんだから、本当にダメ。」 ごねてみたが城崎は折れることなく、丁寧に俺の足を解いて俺の中からモノを出した。 俺に背を向けてティッシュに射精する城崎を見ていると、寂しい気持ちと申し訳ない気持ちに襲われる。 城崎の背中に抱き付いて、(うなじ)に何度もキスをする。 「何でゴム持ってきてねーの……。」 「出張に持って行かないでしょ。ましてや先輩もいないのに。」 たしかに…。 俺がいない遠出にゴム持って行ってたら、浮気疑う原因になっちゃいそうだ。 城崎は浮気しないって信じてるけど。 「そんなに中で出してほしかったの?」 「……………うん。」 「は〜……、マジで可愛い。何でそんなに可愛いんですか?」 「……可愛くないし。」 抱きしめられて、頬擦りされて。 城崎に可愛いって言われると、なんかすげぇ嬉しくて。 始発までの残り数時間しか一緒に居られないのが寂しくて堪らない。 仕事だから「行かないで。」とは言えない。 年上で、しかも職場の上司なのに、出張中の恋人にこんな負担をかけてしまうなんて…。 城崎も今日疲れてるだろうから、明日に向けて寝てほしい気持ちもあるし。 「城崎……、寝る……?」 「ん〜、そうですね。俺も先輩も、明日も仕事だし。」 「うん……」 「しばらく眠れないと思ってたけど、先輩がいるからゆっくり眠れそうです。」 「ん……」 「先輩もお酒飲んで疲れましたよね。寝ましょうか。」 テーブルライトを消し、裸のまま寄り添って布団を被る。 一瞬で眠気に襲われ、うつらうつらしていると、城崎が優しく唇を重ねてきた。 「先輩、おやすみなさい。」 「…お…やすみ……」 城崎の手が優しく俺の髪に触れる。 とても良い気分のまま、俺は意識を手放した。 今日はいい夢が見れそうだ。

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