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第327話
「それとね、先輩。」
「な…、なに…?」
「すっごい声震えてるし、動揺してるけど、俺に何か隠し事してる?」
「えっ…?!」
エスパーなの?
てか今の俺の反応、絶対何か隠してるってバレたじゃん。
なんと誤魔化そうか迷っていると、画面がビデオ通話に切り替わる。
風呂上がりの城崎が画面に映って思わずキュンとしてしまった。
「先輩も顔見せてよ。」
「えっと……」
まだ顔の火照 りは冷めてないし、なんなら下だって萎えてない。
今ビデオ通話に切り替えたら確実に……。
「隠し事……、あるんですか?」
「ない…!ない…けど……」
「じゃあ早く。顔見せて。」
俺は渋々ビデオ通話に切り替える。
画面に映る真っ赤な顔の俺を見て、城崎はびっくりしていた。
「先輩、もしかしてシてた…?」
「……っ」
「何オカズにしてたの?教えて?」
言えるわけねーじゃん…。
城崎が一日履いてたパンツで興奮しちゃったなんて…。
引かれたら俺、生きていけねーし……。
「…………内緒。」
「えー?じゃあ俺、当ててもいいですか?」
「ダメっ…!」
「ふーん?今の反応で確信に変わっちゃったな〜?」
「っ!!」
画面の奥でニヤニヤする城崎。
俺に意地悪する時の表情だ。
バレるわけないし…。絶対ただのハッタリだ。
そう思いながらも、心臓はバクバクと強く脈打つ。
「顔真っ赤。可愛い。」
「………うるさぃ…。」
「先輩、俺のパンツでシコってたでしょ?」
「……っ?!!」
「ははっ!正解だ?」
どこかに監視カメラをつけられていたのかと辺りを見渡す俺を見て、城崎はケラケラ笑う。
「カメラなんてないよ。先輩、分かりやすすぎ。」
「え、あ…、へ……?」
「さっき俺がパンツあるか確認した時、明らかに動揺したでしょ。」
「………引かねーの?」
「まさか。あー、本当かわいい。今すぐ抱きたい。」
絶対引かれると思ったのに、寧ろ嬉しそうだ。
自惚 れとかじゃなく絶対そうだと言わんばかりに、城崎が愛おしそうに俺を見つめる。
そんなの……、俺だって城崎に抱いて欲しいし…。
何で我慢してんのにそういうこと言うかな……。
「………バカ。」
「んー、馬鹿かも。今自分で言っといて、すげぇ先輩に会いたくなっちゃった。」
「…………」
「明後日家に帰るまで我慢できる気がしないし。今度から出張断っちゃダメかな?」
「……駄目だろ。」
「先輩は真面目だなぁ。」
俺だってできることなら断りたいけど…。
出張を蹴るってことは、城崎のキャリアアップを阻む要因となるし、それは俺の本望ではなかった。
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