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第330話

一人寂しい夜を二回耐え、とうとう朝が来た。 今日は城崎が帰ってくる。 名古屋出張から帰ってきて、昨日は報告も兼ねて出社、そして今日は土曜日だ。 早く帰ってくると言っていたから、大人しく家で待っていることにした。 時計の針が進むのが遅く感じてしまうくらい、城崎を待つ時間は長く感じる。 13時をすぎた頃、玄関の方からガチャっとドアの開く音がした。 「城崎っ!!」 バタバタと玄関へ走ると、両手に荷物をたくさん持った城崎が立っていた。 荷物をその場に置いて、両手を開いて俺を受け止める準備をしてくれている。 俺は躊躇(ちゅうちょ)なく、城崎に抱きついた。 「おかえり!城崎、おかえりっ!」 「ただいまです。先輩、ワンちゃんみたい(笑)」 「なっ…!おまえはなんでそんなに冷静なんだよ…!」 「いや、嬉しすぎて逆に冷静っていうか。今先輩の存在を噛み締めてます…。」 「痛っ!城崎、痛い痛いっ!」 ミシミシ鳴りそうなくらい抱きしめられて、城崎にそれを訴えると少しだけ力を弱めてくれた。 力いっぱい抱きしめあった後、一度首に回した腕を解く。 城崎の端正な顔が目の前にあって、綺麗な瞳には俺だけが映っていた。 あ、キスされる…。 目を閉じると、それを合図に唇が重なった。 少し口を開くと、そこから城崎の熱い舌が侵入し、俺の口内を蹂躙(じゅうりん)する。 「ふっ…ん、んっ……ぁ…、…っ…」 何度も角度を変えて唇が合わさり、俺たちしかいない静かな玄関で唾液の絡む水音だけが響く。 ヤバ……。勃っちゃった……。 中心が熱くなって、足に力が入らなくなる。 城崎は俺の背中を支え、ゆっくりと床に俺を横たわらせる。 床は冷たくて、服が捲れて直接肌が当たるとビクッと体が跳ねた。 「ごめん、寒いですよね…。でも俺、今全然余裕ない。」 「んっ…ふ……、……ぁ…、んんっ……、アッ…!!」 キスに集中していたら、いきなり膝で中心を刺激され、一際高い声が出る。 俺の反応を見て楽しむように、城崎は激しいキスを続けたまま下にも刺激を与え始めた。 「はっ…んむ…っ、んっ…ンンッ♡…ァ…んっン……♡」 イクには刺激が足りなくって、でも気持ちよくて声が止まらない。 いつもキスの時甘いセリフを投げてくる城崎が黙ってるってことは、本当に余裕がないんだと思う。 うっすら目を開けると、城崎は目を閉じて俺を感じることに集中しているようだった。 「…あっ、ン!……し、城崎っ……!」 「…………っ」 「…ンンッ♡♡………ぁ、っ……、シ…、シたい…っ!」 「っ!!」 「挿れ…、て……っ」 唇が離れる一瞬一瞬で音を紡いで言葉にする。 俺の言葉が耳に届き、城崎はゆっくりと動きを止めた。 「俺もっ……、先輩と繋がりたい…。」 「うん…。ベッド、行こ…?」 お互い乱れた息を整え、寝室へ入って扉を閉めた。

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