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第342話
日曜日、目を覚ますと俺は裸だった。
昨日はえっちしたけど、最後は服を着たはず…。
布団の中を探しても、ベッド周りの床を見渡しても落ちていなかった。
「寒…っ!」
もう11月間近、さすがに朝と夜は冷え込んでいて寒い。
こうなったら裸のままリビングへ行って服を着るしかないとドアノブを捻るが、ドアは開かなかった。
いや、一瞬開いたが閉じられたというのが正しいか。
「し〜ろ〜さ〜き〜??」
廊下側からドアを押さえつけているのであろう城崎にイラっとする。
「寒いんだけど!!」
「中に服あるでしょ。それ着たら開けてあげます。」
「はぁ?!ないから怒ってるんだろ!」
「ちゃんと見て。ありますから。」
城崎に言われ部屋を見渡すと、部屋の端に見覚えのない袋がある。
可愛らしく包装された袋をあけると、中には新撰組のコスプレが入っていた。
「何だよ、これ。」
「先輩、今日何の日か知ってる?」
「今日…?」
10月31日………。
あ。
「ハロウィンか。」
「ご名答。」
だからコスプレなのか。
てか、それならかなりマシなコスプレなのでは?
変に肌露出の多いコスプレとかだったら絶対着なかったし。
渋々新撰組の衣装を身に纏い、ドアをノックする。
「着たぞ。」
「先輩〜♡トリックオアトリート♡」
「うわっ?!」
突然ドアが開いて思わず城崎の胸に倒れ込む。
なんかめちゃくちゃエロい匂いする。
まだ顔を上げていなくても分かる、いつもと違う城崎。
どうせ香水を変えただけではないんだろうなと身体を離す。
「ぷっ…!!」
「え、変ですか?」
「いや、似合いすぎ…!ぶふっ…!」
城崎はドラキュラの格好をしていた。
白いブラウスにワインレッドのベスト、マントを羽織っていて口には鋭い牙。
一般人が着ていれば滑稽 な格好なはずなのに、城崎は完璧に着こなしていた。
でもそれが何だかおかしくて笑ってしまう。
「もう〜!笑わないでくださいよ…。」
「ぷっ…!だって……」
「まぁいいか。それより先輩、似合ってます♡」
城崎はうっとりした顔で俺を見つめた。
そういえば俺もコスプレしてたんだった…。
城崎のインパクトが強すぎて忘れていた。
「なんで新撰組なんだよ?」
「だってサキュパスとか入れてても着てくれなかったでしょ?」
「着るか、バカ。」
「だから先輩が着てくれそう、かつ似合いそうなコスプレがこれだったんです。はぁ〜可愛い♡」
城崎は俺に頬擦りして離してくれる様子はなかった。
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