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第343話
頭のてっぺんから足の先まで、城崎は何度も俺を見つめてニヤニヤしている。
流石に照れ臭くて顔を逸らすと、その反応を見て城崎は「可愛い」と喜んだ。
「写真撮りませんか?」
「や…、やだよ……。」
「なんで?」
「こんな歳にもなってコスプレとか恥ずかしいし…。」
「俺と先輩だけの思い出。ね?いいでしょ?」
久しぶりに城崎に耳と尻尾が見える。
おかしいな…。今日はドラキュラのはずなんだけど。
わんこ城崎のお願いを拒否できるはずもなく、渋々了承すると、城崎は一眼レフを三脚にセットして準備を始めた。
城崎の隣に手招きされ近付くと、体を抱き寄せられる。
「はい、チーズ!」
カシャッとカメラの自動シャッターが切られ、城崎はカメラを確認すると満足そうに微笑んだ。
これもあの城崎がコレクションしてたアルバムに追加されるんだろうな。
「先輩っ、ありがとうございました♡」
「ん。あ、そうだ。」
「なんですか?」
「トリックオアトリート。………お菓子くれる?」
「あげます!!!」
冗談半分でお菓子を要求すると、城崎は冷蔵庫からプレートに綺麗に盛り付けられたパンケーキを持ってきた。
事前に準備していたのか、クオリティが高い。
「お菓子もあげたいけど、先輩にイタズラしてほしいなぁ…。こういうときってどうしたらいいんですか?」
「知らねぇよ。」
「トリックアンドトリートとか?」
「イタズラとか…、わかんねぇし……。」
どちらかと言うといつもされる側だし、いきなりイタズラしろと言われても困る。
何したらいいかとか分からないし…。
とりあえず城崎のほっぺをつまんで引っ張ってみる。
「いひゃい…。え、先輩。まさかこれがイタズラ…?」
「……ダメか?」
「正直、えっちなイタズラ期待してました。」
「ば、バカっ!!」
こいつ頭の中エロいことばっかじゃん!!
キッと睨むと、何故か睨まれているのに嬉しそうな城崎。
本当こいつ意味分からない。
パンケーキを食べようと立ち上がると、城崎が後ろから俺を抱きしめる。
「食べる前に俺も。トリックオアトリート。」
「…………」
「お菓子くれないとイタズラしちゃいますよ?」
持ってねぇし。
というか、後ろから抱きしめられたら、いつも口元が耳の近くにあってダメなんだって……。
「イタズラしてほしい?」
「………だって、お菓子ないから…。」
「もし持ってたら、くれるの?」
城崎にお菓子をあげるか、イタズラされるか…。
そんなの………。
「………あげない。」
「ふふっ♡お菓子をくれない先輩にはお仕置きしなくちゃですね〜?」
「んっぁ……」
ぐりっと乳首の部分を抉られるように擦られて、俺は思わず高い声をあげた。
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