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第345話

城崎は俺の顔を見てムッとした。 「先輩、俺が何も考えずにもの言ったと思ってるでしょ。」 「え?違うのか?」 「ちゃんと考えてますよ!というか、すっげぇ調べました!!痛くないのかとか、やり方とか、種類とか!!」 「そうなんだ…。」 城崎ってもしかしてアブノーマルなのか? ゲイってだけでノーマルとは言い難いのかもしれないけど…。 「でもよく考えると、先輩仕事してるし、普段シャツだから乳首にピアスなんて付けてたらバレちゃうし、それに服に擦れて感じてる先輩の顔みんなに見られるのは絶対嫌だし、先輩の陥没乳首とお別れってのも考えれば考えるほど寂しいっていうか…。」 「…………。」 そ、そっか…。 服に擦れたら感じるかもなんだ…。 というか、俺の場合100%感じるだろうし…。 自分も大概何も考えずに返事したことを実感した。 「俺と二人きりのときだけ一時的に開けれたらいいのになぁ。ニップルピアスとか、なんか独占欲と征服欲めちゃくちゃ満たされる。」 「そ、そうか…?」 「だってこんなに仕事できる真面目な先輩が、脱いだら乳首にピアスあけてる変態とか興奮しかないじゃないですか!!誰が開発したの?!俺!!ってなるじゃないですか!!」 「…………。」 城崎のいうこともわかる。 普段クールな城崎が俺にだけ見せるこういう変態な一面も、俺だけ知ってるっていう優越感がすごいから。 それに、俺だって城崎だけが知ってる秘密があるの、なんか興奮するし……。 「付ける……?」 ぺらっと服の裾を摘んで捲り上げる。 たくさん弄られてつんっと張ったピンクの乳首を見て、城崎は涙目で鼻を押さえた。 「妄想で……我慢します…っ……」 「そっか…。」 城崎になら開けられてもいいかも…、なんて勇気を振り絞って誘ってみたものの、城崎は俺のことを思ってか諦めたようだった。 天を見上げて「あ〜……」と嘆く城崎を見て、俺は思い出したようにププッと吹き出した。 「なんですか…。」 「いや、ふふっ…!俺もお前も、そういえばコスプレしてこんなことしてたんだなって…。ふふっ…。」 「笑ってる先輩可愛すぎる……。あー、生きてるだけで罪ですよ、先輩……。」 「罪ってことは、なんか罰受けなきゃダメ?」 「はい。罰として、一生俺のそばにいてください。」 「ふっ…、いいよ…?ぷはっ…(笑)」 コスプレしながらプロポーズみたいなことされて、ドツボにハマった。 ケラケラ笑っていると、城崎はムッとした顔で俺の頬をつねる。 「笑いすぎ!」 「だ、だって…、こんな格好だから…(笑)」 「じゃあ脱ぎます。」 「ちょ、わ…っ!」 城崎はマントもブラウスも脱ぎ捨て、鍛え上げられた体躯を俺に見せつけた。 外し忘れた牙がやけに似合っていて、むしろさっきより本物の吸血鬼みたいでゾクッとしてしまった。

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