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第346話

「先輩、新撰組なのに刀は持ってないんですか?」 「か、刀…?」 「手ぶらでどうやって戦うんですか?」 城崎が俺の体にペタペタと触れる。 ヤバい。もしかしたら、城崎の変態スイッチを起動してしまった気がする。 俺に触れる城崎の手つきが、明らかに変わった。 いや、さっきまでもそうだったんだけど、なんかこう、イタズラと本番は違うというか…。 「もしかして先輩の刀、これですか?」 「ひっ…!」 城崎は後ろから抱き締めるように俺を捉え、手ぐせの悪い右手は俺のズボンを下ろし、ペニスを握っていた。 直で触られて反応しないわけがなくて、それは硬度を持ち始める。 「先輩の刀、握ると熱くて伸びるんですね♡」 「お、おまえ…、マジでオヤジ臭い…っ!うぁっ…」 「あーあー、こうやって人を誘惑して戦うんですか?困った剣士だなぁ…。」 「ちょ…ぁっ…、さ、触んなぁ…!」 「俺の刀も伸びてきちゃった。先輩、わかる?」 尻の割れ目に押しつけられた硬い何か。 何かなんて言わなくても分かってるけど、城崎曰く今日のそれは"刀"らしい。 「先輩の鞘に()めたい。ダメ?」 「オヤジ臭いから…、やめろって……。」 「オヤジ臭い俺は嫌?」 「い…嫌ぁ…っ」 「は?今なんて言った?」 「オヤジ臭いの…やだぁ…っ」 最近思ったことが一つ。 俺は案外乙女思考らしい。 変なスイッチが入った時の城崎を、冷静な頭で「気持ち悪い」と判断してしまうくらいには。 ただ思考と身体というのは存外に一致せず、城崎を受け入れ慣れた俺の身体は、早く城崎を受け入れろと言わんばかりに腰が自然と揺れた。 「言葉と体が一致してませんけど。」 「やだぁ…。気持ち悪い……。」 「は???」 「城崎キモい……。」 「マジで怒りますけど。」 刀とか鞘とか変態プレイしてる城崎も、それを受け入れてしまいそうになっている俺も嫌で無我夢中で抵抗すると、城崎が本気で怒りそうになっている。 でも嫌なんだもん。 これ絶対城崎じゃねーもん!! 「お前…、それどこの受け売りだよ……?」 「………………。」 「いつもの城崎がいいのに…っ」 「…………すみませんでした。」 涙ながらに訴えると、城崎は俺のペニスから手を離して謝罪した。 どうやら話を聞くと、新撰組のコスプレを購入する際に、変なゲイビサイトに飛んでしまったらしい。 そこで聞いた刀と鞘に、何かピンとくるものがあったようだ。 「ピンと来ねーよ。逆に何にピンときたんだよ。」 「俺にはなんかきたんですよ…。俺の刀が先輩の鞘に収まるってワードが、なんか……。」 「もう早く脱がして普通にセックスしてくんない…?」 「いいんですか……?」 「普通にする分にはな。………体あちぃし…。」 「………!!」 焦らしに焦らされた身体。 城崎のオヤジ臭いプレイを受け入れたくなかっただけで、城崎と抱き合うのは本望だ。 控えめに脚を開くと、城崎は目をキラキラさせて俺に飛びついた。

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