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第347話

脱いだ後はいつも通り…、よりも、ちょっと激しめなセックスをした。 いつもながら俺の中が城崎のソレにぴったりと吸い付くように(はま)るから。 それはそれは本当に刀と鞘のようにぴったりと。 言葉にはしなかったが、多分お互いに何となくそれを意識してしまって、盛り上がったというか。 結局は俺もオヤジ思考だったわけで。 「気持ちよかった……。」 「俺も……。」 裸で抱き合い、脱力する。 明日から仕事なのに、真っ昼間からやりすぎた…。 もう疲れて動けない……。 「先輩が噛んでっていうから、いっぱい痕付けちゃいました…♡」 「言ってない…し……。」 「言ってましたよ。城崎、もっと、もっと〜って。」 「それは言ってない。」 途中から城崎が話を盛り始めたから否定した。 噛んでって言ったのは本当だから、言葉詰まったけど。 おかげで俺の身体のあちこちに赤い痕がたくさん残っている。 「こんなとこどうやって隠すんだよ…。」 「マフラーしますか?」 「仕事中できないだろ、バカ。」 頸の部分に綺麗についた歯形をなぞると、城崎は嬉しそうに笑う。 本当、他人事だからって…。 ぷくっと頬を膨らますと、城崎は俺の頬をツンツン指で潰しながら、胸元を見て「あ。」と声を漏らした。 「ここ、失敗したヤツだ。」 「ぷっ…、あはは!城崎焦ってたもんな。」 「いや、本当……、歯折れたかと思いました…。」 「ぷくくっ…!」 城崎は付け牙をしたまま俺に噛み付いて、付け牙がぽろっと取れて何が起こったかわからずに固まっていた。 エロいことしてるのにあまりにも間抜けな城崎に、セックス中に大爆笑してしまったのだ。 思い出しても面白い。 「来年からコスプレ辞めようかな…。先輩にすげぇ笑われるし、オヤジ臭いから嫌とか言われるし……。」 「全面的に城崎が悪くね?」 「先輩だけに着せる……。俺は着ない。」 「は?!嫌だけど。」 「先輩にメイド服とか着てほしい…。ご主人様って言ってほしい………。」 欲望丸出しの城崎に思わず苦笑いする。 嫌だとは思いつつも、本気でお願いされたら俺は着てしまうんだろうなぁ。 「なぁ城崎。」 「ん〜、なんですか?」 「当たり前に来年って言ってくれてるの、地味に嬉しい。」 「だって離れる気ないですからね。」 城崎は俺を抱き寄せて、身体のあちこちにキスを落とす。 「誰にも渡しませんから。」 「うん。俺も城崎から離れない。」 笑ってそう返すと、城崎は満足げな顔で唇にキスをした。

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