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第354話

『この後12時より、大水槽にてジンベエザメのごはんタイムが始まります。お時間のある方は是非大水槽へとお立ち寄りください。』 キスする直前、館内アナウンスがなって俺たちはハッと目を覚ます。 周りを見ると、何人か俺たちを見ていた。 「ねぇねぇ、ママ。男の子同士でもケッコンできるのー?」 「こ、こら!行くわよ…!」 子どもにも見られていた…。 純粋無垢な子どもが大きい声で聞くものだから、俺たちに気付いてなかった周りの人も「え?」と男同士のペアを目で探していた。 居た(たま)れずに俺と城崎は顔を伏せたまま、大水槽から離れる。 「先輩、ジンベエザメの餌やり見なくてもいいんですか?」 「み、見たいけど…!あそこにいる方が無理…!!」 「ご、ごめんなさい…。」 「ていうか!ちょっときて…!」 城崎の手を引いてトイレへ向かう。 誰もいないスキを狙って、二人で個室に入った。 「ムードないけど……、ここならバレないだろ…?」 「先輩……っ」 今は神秘的な魚の群れより、ジンベエザメの餌やりより、何よりも城崎と二人になりたかった。 トイレなんてムードもへったくれもないけど、城崎も同じ気持ちだと思う。 「んっ…、ん…ふ……」 抱きしめられて、お互い唇を合わせて(むさぼ)り合う。 あー、ヤバい。 すげぇ好き。 城崎のこと、めちゃくちゃ好きで堪らない。 興奮して息が荒くなって、声を出しそうになったところを城崎に止められる。 「シーッ……。人が来ちゃうから。」 「んっ…ん……」 そんな真っ赤な顔して言われても、何の説得力もない。 俺もう、パンッパンに張っててツラいし。 なんならキスだけじゃなくて、下も(しご)いてほしいくらいだし。 涙ながらに上目遣いで城崎を見つめると、困った顔をしている。 「俺もヤバいんですけど…。」 「じゃあっ……」 「でも、ここじゃ…ねぇ……?」 さすが観光地といったところか。 俺と城崎がトイレにきたタイミングは無人だったが、それ以降ひっきりなしに人が入ってきている。 ちょろちょろと小便の音が聞こえて、がっくりと項垂(うなだ)れる。 「治るまで待ちますか…。」 「つらい………。」 「俺もですよ……。先輩、匂いだけ嗅がせて?」 「んっ…」 城崎は俺の首筋に顔を(うず)め、大きく深呼吸した。 髪が首に触れて擽ったい。 「城崎……っ」 「先輩、抜いてあげよっか…?」 「んっ…ぁ……!」 城崎は俺の後ろに回って、俺を抱きしめた。 俺のズボンを下ろし、ちんこを便器の方へ向ける。 「先輩は声出さないように口抑えてて?これ、咥えててもいいから。」 首を縦に振ってハンカチを受け取る。 俺がハンカチを咥えて口を抑えたのを確認して、城崎は俺のちんこを扱き始めた。

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