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第356話
大満足で水族館を後にし、気分良くタクシーで次の目的地に向かう。
「城崎、本当ありがとな!」
「どういたしまして。」
俺はイルカのぬいぐるみを抱きしめて城崎にお礼を言った。
大きくてふわふわのイルカのぬいぐるみ。
写真撮った後、まだイルカを見てはしゃいでいる俺を見兼ねて買ってきてくれたのだ。
「ホテル着いたら郵送しましょうね、それ。」
「えぇ〜?」
「帰り邪魔でしょ。それに先輩の可愛さもみんなにバレちゃうし。」
「仕方ないなぁ…。」
イルカのぬいぐるみと行動を共にできるのは、どうやらあと少しらしい。
まぁ家に帰ったら届くんだけど。
「ほら、もうすぐ先輩が楽しみにしてたダイビングですよ。」
「やったー!時間大丈夫?間に合う?」
「大丈夫です。ちゃんと逆算して水族館出ましたから。」
「さすがだなぁ。」
仕事とは違ってプライベートなので、俺はそこまで何も考えずに行動してる。
この旅行の時間管理は城崎に任せている、完全に。
しばらく海沿いを走り、予約していたダイビングスポットに到着した。
「綺麗だな。」
「本当、綺麗ですね…。」
一面に広がるキラキラ水色に光る海に感動して、俺も城崎も感嘆の声をあげる。
俺たちに気づいて、小屋からおじさんが出迎えてくれた。
「もしかして望月様ですか?」
「あ、はい!予約していた望月です。」
「綺麗だろう?今から君たちも潜るんだよ。」
「すっごく楽しみです!」
おじさんに連れられて小屋まで向かう。
着替えと練習、あと注意点などをレクチャーしてもらってから船に乗ってダイビングスポットへ向かう。
「やば…。ドキドキする……。」
「俺とする前より?」
「バッ、バカ!!それとは別のドキドキだから!」
冗談言う城崎をペシペシ叩きながら怒る。
でも城崎のおかげで少し緊張はほぐれたかも…。
「ほら、着いたよ。」
「うわぁ〜!」
おじさんに言われて水面 を覗き見ると、珊瑚礁 と色鮮やかな魚の群れ。
今からここに潜るのかと思うとワクワクする。
おじさんに従ってゆっくりと船から降りる。
ザブンっと海に入り、ロープを伝ってゆっくりと水中へ潜った。
少し深いところに行くと耳抜きが上手くできて、見えるところに既に耳抜きを終えた城崎が俺に手を振っていた。
水中はやっぱり暗くて、でも間近で魚や珊瑚が見れて、なんか不思議な感じ。
初めてのダイビングで感動がいっぱいで、早く話したいのに話せないもどかしさ。
目の前に城崎がいるのに。
体験用にもらった水中カメラで城崎とツーショットを撮ってもらったり、お互いを撮りあったり、魚や珊瑚を撮る。
あっという間に体験時間が終わり、俺と城崎は船へ引き上げられた。
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