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第360話

城崎は勢いのまま俺をベッドに押し倒す。 こんなにも嬉しそうな表情を見せられたら、止めなきゃいけないのに言いづらくなる。 「……っ、涼真帰ってくるから……」 「今日柳津さん何してるんでしたっけ?」 「同期と…っぁ、た、食べ歩き…ッ」 「北でも南でもやること変わらないんですね。」 「…っ、城崎、ダメってばっ…」 服を捲って乳首を重点的に舐められる。 ぐいぐいと頭を押してもびくともしなくて、俺は城崎の髪を握って快感を逃すのに必死になった。 もう陽も落ちてるし、涼真がホテルに到着するのも時間の問題だと思うから、本当に早くやめないと…。 「城崎っ…!」 「大丈夫。ここ壁際だから、入ってきても死角だし。」 「で、でも…っ」 「柳津さんが帰ってきたらちゃんとやめますから。二人きりのうちに先輩を堪能したい。」 「んぅ…っ」 乳首を起たせて、城崎はキスに移行する。 激しいキスをしながら、乳首は優しく手のひらで撫でられたり、急に親指でグリグリ捏ねられたりして、波のある刺激に頭が混乱しそうだ。 止めても無駄だし、もう全部委ねてしまおうかと城崎の首に腕を回す。 それが嬉しかったのか、城崎は唇を離して幸せそうに微笑んで俺を見下ろした。 「好き。大好き。愛してます、先輩…。」 「はっ…ぁ!ぁっ、う……」 「可愛い…。感じてくれてるの?」 城崎は俺の脚を割るように足を忍ばせ、膝を俺の股間に密着させた。 もう既に硬くなっていることに気づいただろう。 恥ずかしくて顔を見られないように引き寄せると、耳元で城崎がくすくす笑っていた。 「あー……、ごめんなさい。触っていい…?」 「………」 「さすがにこれは耐えられないです。」 城崎の腕が下に伸びていき、ズボンのチャックにかかった瞬間、ドアがガチャっと開く音がして、俺と城崎二人とも固まった。 動きが止まったのは一瞬。 城崎はあっという間に俺を布団の中に隠し、ベッドの縁に座った。 「ただいま〜。………綾人は?」 「寝ました。」 「嘘つけ………。おまえ、それはさすがにバレるよ。」 「ですよね〜。……ってことで、あと1時間くらい出て行ってくれたりしませんか?」 「明け透けにもの言うんじゃねぇよ。…ったく、仕方ないから1時間だぞ?荷物だけ置かせて。」 ガタガタと物音がして、しばらくしてからまたドアが閉まる音がした。 涼真、出て行ったのか…? そろりと布団から顔を出すと、城崎がにっこりと笑って俺を見ていた。 「なんで?」 「観光し足りなかったんじゃないですか?」 「バカ言え。会話聞こえてたよ。」 「あはは。」 「そうじゃなくて、なんでバレたのかって聞いてんだよ。」 問い詰めると、城崎は苦笑しながら下を指差した。 指先が示す方向に目をやると、張り詰めた城崎のズボン。 俺を隠すのに必死で、自分のことは何一つ隠していなかったらしい。 「まぁ、気を利かせて出て行ってくれたし、一回だけしませんか?」 「バカ…。出て行かせたんだろうが…。」 可愛くない口をきいてしまったが、NOではない返事であることをきちんと汲み取った城崎は、布団を捲って俺を抱きしめた。

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