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第361話

ホテルとは言っても社員旅行。 同じ階には同僚や、他にも知り合いの社員が大勢泊まっている。 隣の部屋や廊下が賑やかなのが、余計に今の俺たちの行為を普通じゃないと感じさせている気がして、俺は必死に声を押し殺す。 「先輩…っ、声、出していいよ…?」 「………っ!」 「俺は先輩の可愛い声聞きたいし。ほら、ここ気持ちいいでしょ?」 「……ぁっ…、ん、んっ…」 「我慢してる先輩も可愛い…♡」 1時間という限られた時間。 城崎は俺が(つら)い思いをしなくて済むよう、貴重な時間をたっぷりと俺の穴を慣らすことに()いた。 おかげで痛みはほぼ感じないけど、挿れた瞬間から溢れんばかりの愛をぶつけてくる城崎にいっぱいいっぱいにされている。 考えることすら許されないくらい気持ちよくて、キスしながら奥をズンズン突かれたら堪らない。 頑張って声を(ひそ)めているのに、逆に声を出させようと俺にもっと強い快感を与えてくる。 酷い恋人だ。 「もうあと15分……。1時間とか言わずに2時間って言っておけばよかったなぁ…。」 「ふっ…♡うぅ……」 「後処理のこと考えるとあと5分くらいが精一杯か…。先輩、動くよ?」 「ひっぁ、あっぁ…♡♡」 「ここ好きだね、先輩。」 タイムリミットが刻一刻と迫ってくる。 城崎はラストスパートをかけるように俺を抱きあげて、腰を浮かしながらズンズン奥を揺さぶる。 気持ち良すぎて頭が真っ白になりそうで、我慢していたことも忘れて声を上げる。 無意識に俺の声が大きくなると、城崎は笑いながら俺の口を押さえた。 「あんまり大きすぎるのはダメ。他の人に聞かれちゃやだ。」 「んっ、んぅ〜…」 「うんうん、気持ちいいね。はぁ、そろそろ俺もイキそう。先輩、受け止めてね?」 「〜〜〜ッッ♡♡♡」 ゴム越しにも分かるくらい熱く弾けたのを感じ、俺はチカチカと目をスパークさせた。 城崎は俺の中からずるりとそれを抜き出し、ティッシュで拭いた。 城崎がゴムの口を結んでいるのを見て、カッと顔が熱くなる。 たっぷりと吐き出された精液で(たゆ)んだゴムは、それだけ城崎が俺で興奮してくれた証拠だ。 「あ、先輩のえっち〜。これ、欲しい?」 「ち、違うからっ!!」 「なーんだ。物欲しそうに見てたから期待しちゃったのに。ま、欲しくなったらいつでもあげます♡」 「…っ!!」 目の前にぷらぷらと垂れ下げられて、恥ずかしくて顔を逸らす俺を見て、城崎はイタズラな笑顔を見せた。 トイレのゴミ箱にそれを捨てに行くついでに、温タオルを作ってきてくれて、丁寧に俺の体を拭いていく。 「あー、今日の夜つらい。先輩と一緒のベッドで寝るのに手ぇ出せないのつらいよぉ…。」 「………自分のベッドで寝れば?」 「なんでそんな冷たいこと言うんですか。もう俺、先輩と寝るって決めたんですから。」 「あっそ…。」 城崎が俺の体を拭いている間、城崎にもたれかかりながら可愛くない言葉を連発する。 それでも城崎は、俺の本音を分かっているのか怒ったりはしない。 ちょうど体を拭き終えて服を着せられた瞬間、ノックとほぼ同時にドアが開けられた。

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