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第373話

満足いくまで朝食を楽しみ、名残惜しいがホテルを後にする。 昨日タクシーばかり利用して、さすがに出費がやばいと思った俺はモノレールを提案。 城崎は出費に関してあまり気にしていないようだったが、これからのこと考えたら若いうちにこんな無駄遣いするのもよくないなと俺は思う。 タクシーとモノレールを利用して、昨日諦めた国際通りに向かった。 「ここで昼食とりますか?とりあえず搭乗時間の1時間前くらいに着けばいいですかね。」 「え。ギリギリじゃない?」 「大丈夫でしょ。まぁ乗り遅れたら、二人で帰りましょ。」 自由すぎないか…? 飛行機は15時の便だけど、空港には余裕を持って着いておきたいのが本音だ。 なんなら12時には空港に着いて、空港で昼食とってお土産買って時間潰すでもいいと思うんだけどな…。 「首里城も見に行きたいですか?」 「今回はいいや。大人しく空港行こ。」 「じゃあ目一杯、国際通り楽しみましょうね。」 手を差し出されて一瞬戸惑う。 繋ぎたい。 でも、周りに誰かいるかもしれないし。 どうするのが正解か分からなくて、城崎の表情を伺う。 「先輩、繋ご?」 「だって……」 「繋ぎたい。」 「あっ…」 城崎は俺の返事を待たず、手を握った。 もちろん指を絡めて、恋人繋ぎだ。 不安になって周りを見ると、通りかかる人はみんな、景色や店に夢中で俺たちを見ている人なんていなかった。 「ね?大丈夫でしょ?」 「うん…。」 安心してぎゅっと城崎の手を握り返すと、城崎は嬉しそうに笑った。 好きだな…。 太陽の光で柔らかく透き通った城崎の髪が目に入る。 定期的に染めてるらしいけど、綺麗な色だよな…。 ぼーっとしていると、城崎に腕を引かれ我に返る。 「あれ、気になります。見に行きましょ。」 「うん。あそこ?何の店?」 「珊瑚(さんご)の加工店だと思います。」 城崎に連れられるまま入店する。 ガラス棚には珊瑚を使ったアクセサリーやインテリアがたくさん並んでいた。 「本当に珊瑚だ…。」 「先輩こーゆーの好きそう。」 「わっ…、何?」 「似合うかなぁって。ふはっ!可愛いけど、すげぇ目立ちますね(笑)」 城崎は俺にネックレスをつけたり、ブレスレットを付けて見せてくれたりと楽しそうだ。 結局、珊瑚を使った小さめのお揃いのキーホルダーを買って店を出た。 「あ。あそこは?」 「シーサー?魔除けですよね、たしか。玄関に置きますか?」 「ふふっ…、(いか)つ…(笑)」 「たしかに厳ついかも…。」 「いいよ、置こ。沖縄行った思い出な。」 周りのことなんて完全に忘れて、城崎と二人で観光を楽しむ。 お土産屋さんに寄ったり、食べ歩きをした。 城崎は地ビール飲んだり、俺はお酒はダメだからとアイスを買い与えられたり。 楽しすぎて時間を忘れてて、気づけば時計は13時を指していた。

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