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第379話
昼休憩が終わるギリギリまでちゅんちゅんの質問タイムは続いた。
普段は何をしてるのかとか、同棲はいつからかとか、今までのお揃いはたまたまじゃないですよね、とか。
俺や大人の営みに関する質問は全て、城崎が回答を拒否していたけど。
「にしても、声出なくなるまでってすごいっすね。本当。」
「な。怖いよなー。綾人もすげー奴に好かれたもんだ。」
ちゅんちゅんは城崎がその手の質問を全て無視するから、諦めて涼真に話し出した。
涼真も相手にしなくていいのに…。
とか思いながらも、つい聞き耳を立ててしまう。
「柳津さん、知ってます?城崎さんめちゃくちゃちんちんデカいんすよ。」
「え、見たの?」
「社員旅行の時の大浴場で見ました!」
「お前ら行かないって言ってなかったか…?」
「わざわざ人がいない時間に行ったんですよ。なのに、このバカが………、チッ。」
「今舌打ちしました?!しましたよね?!」
城崎はイライラして舌打ちした。
あー、もう。怒らないで…。
怒りを落ち着けようと手を握ると、城崎はふわりと笑い、眉間に寄せた皺がなくなった。
「綾人の癒しパワーすげぇ。」
「でね!でね!ここからが不思議なんですけど、あんな大きさのちんちんが勃起すると、もっとデカくなるじゃないですか?」
「まぁ勃ったら大きくなるなぁ。」
「男同士ってケツの穴使うって言うじゃないですか?望月さんのケツの穴どうなってんのかなって……痛ぁっ!!」
城崎の拳骨がちゅんちゅんの頭の天辺 に直撃した。
鈍い音がした。
多分、いや間違いなく痛いと思う。
てか、そうだよな。
もしかして俺の尻の穴って、人より開 いてんのかな…?
もしそうなら恥ずかしくない?
うわ、どうしよう。急に恥ずかしくなってきた。
「先輩、顔赤い。」
「えっ、あ…、えっと……」
「見せたくないから今すぐ戻して。」
「わっ…!」
強引に抱き寄せられて、城崎の腕の中に収まる。
いや……、これじゃあ余計に熱が冷めないんだけど。
「ちゅんちゅん、マジでこれ以上セックスの話するなら殺すぞ。」
「怖いですって…!め、目がマジなんすよ…。」
「本気だからな。」
「すみませんでした。もう絶対言いません。誓います。」
城崎こえぇ……。
抱き締められてて表情は見えないけど、力の入り具合的にまぁまぁ怒ってそう。
「城崎、落ち着いて…。」
「だいぶ我慢してる方だと思うんすけど。」
「我慢してるけど、殺すとかそういう物騒なことは言っちゃダメ。城崎には似合わないよ。」
「じゃあ言わない。」
「ん。いい子。」
頭をぽんぽんと撫でると、ぎゅうっと力強いハグが返ってくる。
城崎、かわいいな…。
「そ、それじゃあ俺はこの辺で……。」
「俺も〜……。」
これ以上城崎の逆鱗 に触れたくないのか、ちゅんちゅんと涼真は隠れるように会議室を出ていった。
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