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第382話
俺も追いかけるように中へ入ると、城崎の弟は楽しそうにいろんな部屋のドアを開けて探索していた。
「やべ〜。風呂場にもローションあんじゃん。寝室、ベッド広っ(笑)兄貴も露骨だな〜。」
「あ、あの……」
「あ、お兄さん、一発ヤる?」
俺の方を見ながら、親指と人差し指で作った輪っかにもう片方の指を通す。
これって性行為のハンドサインじゃなかったっけ…?
「って、えぇっ?!」
「兄貴の好みって、俺の好みとまぁ被ってんだよなぁ。」
「はっ、え、あのっ…」
「つまり、お兄さん、超タイプ。俺と一回だけでもシてみない?」
「し、シない!!」
城崎と顔似てるし、城崎を幼くしたらこんな感じなんだろうなって今すげぇドキドキしてるけど!!
でもこの子は城崎の弟であって、城崎じゃない。
ていうか、城崎の弟、ふしだらすぎない?!
「お堅いね〜。どうせこの様子じゃ、毎日兄貴と仲良くやってんだろ?よくない?1回くらい。俺上手いよ?満足させてあげる自信あるし。」
「絶対嫌だから!!」
「んー。そういうこと言われると余計燃えちゃうかも。」
「ちょ…!?うわっ!!」
逃げようとすると服を引っ張られて、思いっきり転 けた。
鼻打った……。痛い………。
地味に痛くて、じんわり涙が浮かぶ。
「うーわ。お兄さん泣き顔ヤバ。ねー、もっと泣かせてもいい?」
「へっ…?!」
いつのまにか組み敷かれていて吃驚 。
城崎ですら、こんなに手は早くなかったのに。
何この子。何なの?!
「わぁ。陥没乳首じゃん。やらし〜。」
「ちょ…!やめて!」
「やーだ♪これいつもどうしてんの?俺、陥没乳首初めてなんだけど。燃えんね、コレ。」
「やっ…ぁ…!!」
「感度良すぎ。出したらどうなんの、これ。」
もう無理…。
俺、このまま城崎の弟にヤられちゃうんだ…。
歯を食いしばって耐え切ろうと覚悟を決めたとき、バンッと勢いよく家の扉が開いた。
「先輩っ!!!」
「げっ…。兄貴…。」
「葉月っ…!!この節操なしが!!!」
「ってぇ〜〜!!!」
ヒーロー?王子様?
最高なタイミングで現れた、俺の大好きな人。
いつもの100倍増しでキラキラして見える…。
「先輩、大丈夫?何もされてない?」
「う…、うん……。」
「はぁ〜〜。マジで焦った。まさかこっちにいるとは思わなかったし。」
「??」
「先帰っててって言ったでしょ?おふくろから頼まれて、こいつ探してたんですよ。前の家見に行ったけどいなくて。」
「そうだったんだ……。」
城崎は「はぁ〜……」と大きな溜息を吐きながら、俺を力強く抱きしめた。
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