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第384話

結局1時間の兄弟喧嘩の末、葉月くんは家に帰ることになった。 「綾、タクシー代ちょうだい?♡」 「え、あっ…、いくらくらい…」 「先輩。おふくろが迎えに来るから。いらないです。」 「あ、そうなの…?」 「葉月も先輩にたかるな。」 「いいじゃん。有名企業だし、がっぽりもらってんだろ?」 「そういう問題じゃない。」 お金をもらおうと差し出した葉月くんの両手を、城崎がパシっと叩き落とす。 厳しいお兄ちゃんだな…。 まぁでも、弟が問題児だとこうなるのか…? 「ほら、おふくろ着いたって。」 「ちぇー。仕方ないから帰るか。じゃあね〜、綾。また会いに来るね〜♡」 「二度と来んな。」 城崎は葉月くんを追い出すように外に出して鍵を閉めた。 俺としては車に乗るまで見届けてあげたいけど…。 でも城崎のお母さんに、俺と暮らしてるってバレたらそれはそれで面倒なのか…? 「先輩、ただいまのキスまだなんですけど。」 「え、あ、おかえり…、んっ……」 「一回じゃ足りない。」 「ん…ふ……」 玄関で壁に追い詰められながら、何度も唇が合わさる。 いつもより激しくて深い。 気持ちいい……。 「先輩のバカ。何であんなに葉月のこと甘やかすの?」 「あー、ごめん…。つい、癖で。」 「癖?」 「俺にも丁度葉月くんと同い年の弟がいるんだよ。それで、つい。」 「先輩の弟…っ?!」 あれ?城崎に言ってなかったっけ? そういえば言ってなかったような…。 「見たい!写真は?」 「えーっと……、あ、あった。これ。可愛いだろ?」 「え……、あんまり似てないですね。というか、若くないですか?13歳差?」 「母さんの妹の子なんだ。訳あってうちで引き取って、正真正銘俺の可愛い弟だよ。」 「だから優しいんですね、弟に。」 「うん。弱い。甘えられると、もうダメ。甘やかしちゃう。」 昔から弟のおねだりに弱い。 だから葉月くんの可愛こぶりっ子は相当効いたなぁ…。 俺の弟は真面目でいい子で、あまりおねだりとかはしてこないから。 話してると久々に会いたくなってきたなぁ。 「俺も甘やかしてよ…。」 「十分甘やかしてるだろ?」 「俺、怒ってるんですからね。」 「何を?」 「葉月のことは下の名前で呼んでるし。おまけに葉月には呼び捨てにされてるし。彼氏は俺なのに。」 ぷくーっと頬を膨らます城崎。 可愛い…。 「俺が好きなのは夏月だけだから…。」 「っ…!」 「も…、恥ずい……。」 「綾人さん、大好き♡」 翌日が土曜日ということもあって、城崎にたっぷり愛されて一晩を過ごした。

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