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第394話

始業時刻数秒前に、営業部に滑り込む。 遅刻ギリギリの俺たちをみて、上司がけらけら笑っていた。 「どうしたの、こんなギリギリ珍しくない?」 「は、はは……」 デスクに着くと、涼真に首を傾げられる。 だって……、だって仕方ないじゃん。 路地裏に連れ込まれた後、もうそれはそれは激しいキスをお見舞いされた。 頭おかしくなるくらい気持ち良くて、もちろん俺は勃っちゃって……。 城崎のコートに隠されながら、城崎の手の中で盛大にイカされた。 「顔赤いぞ。………またなんかしてきたのか。」 「………まぁ。」 「朝からイチャイチャするのはいいけど、仕事に支障はきたすなよ?」 「分かってるよ……。はぁ……」 机に突っ伏して、大きく息を吐く。 何で城崎ってあんなに格好良いんだろう…? 早く家帰りたい。 城崎にいっぱい甘やかしてもらいたい…。 「そういえば、クリスマス何すんの?」 「何って……、そこまでは決めてないけど、俺と一緒に過ごすつもりでいてくれたっぽい。」 「そりゃそうだろ。逆に綾人以外と予定入れてたら引くわ。」 「プレゼント、何あげようかな……。何だったら喜ぶと思う?」 誕生日も悩んだけど、クリスマスだ。 恋人らしいプレゼント、渡してみたい…。 俺の誕生日は今までで一番幸せにしてもらったし、俺も城崎に幸せだって思って欲しいな……。 「綾人からのプレゼントなら何でも喜ぶんじゃね?」 「そうじゃなくて。もー、真剣に考えろよ。」 「俺じゃなくて綾人が考えたものの方が喜ぶだろ。城崎鋭いし、俺が考えたやつなんてバレちまうぞ。」 「んー……。」 たしかにそうかもしれない。 城崎って、怖いくらい勘が鋭いし、俺以外が考えたなんてバレた時にはブチギレて……。 やだやだ。クリスマスなのに喧嘩したくないし。 「涼真〜……。そのまま買わないからヒントだけでも教えて……。」 「ヒントって……。別にプレゼントなんだから正解も何もないだろ。………まぁ、強いて言うなら、あいつは綾人自身をもらえたら喜ぶんじゃね?」 「…………俺?」 「うん。ほら、バレンタインに体にチョコ塗りたくって『チョコレートは私♡』みたいな。」 「ぷっ…!あはは!AVの見過ぎだろ!」 「かもな〜。でも、そういうの喜びそう。」 そっか。俺自身か…。 なんだろ、やっぱりサンタコス…とか? でも俺がサンタの格好して喜ぶ? リサーチ……しなきゃ。 「おーい、望月。ちょっとこい。」 「はい。今行きます。」 部長に呼ばれて、気持ちを仕事モードに切り替える。 ずっと浮かれているわけにもいかないが、城崎にバレないように仕事終わり色々調べてみようと意気込んだ。

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