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第395話

「せーんぱいっ♡帰りましょう?」 「あ…、城崎……。」 「どうしました?」 「今日…、寄りたいとこあるから……。」 「買い物ですか?俺も行きます♪」 まだクリスマスには早いけど、帰りにショッピングモールに行って、プレゼントの下調べをしようと思ったのに。 着いてくる気満々だ……。 断ったら勘繰られそうだし、まぁ今日買うわけでもないし…。 城崎と一緒に大型のショッピングモールへ寄ることにした。 「わぁ、もうツリーもありますね。」 「12月だからなぁ。」 「でもまだクリスマスまで二週間ありますよ?」 「早め早めなんだろ。多分。」 「適当だなぁ。」 真ん中に飾られた大きいクリスマスツリーを見ながら、城崎の隣を歩く。 手を繋ぎたいけど、さすがに人が多過ぎてやめた。 女性が通りすがるたびに城崎を二度見して、きゃあきゃあとはしゃいでる。 「相変わらずモテるなぁ…。」 「そんなことないですよ。そういえば、先輩。何買うんですか?」 「え、あー…、んー……」 ここで口籠ったら、バレそうだ。 俺は目に入った雑貨屋を指差した。 「あれ!クリスマスツリー、小さいの家にどうかなって…!」 「あー、ツリーですか。いいかもですね。」 「だろ?一年に一回しか使わねぇけど…。」 「でもそれって、これからも俺と何回もクリスマス一緒に過ごそうってことですよね?嬉しい。」 「わっ…!?」 ぎゅっと抱きしめられて、心臓がバクつく。 周りにいっぱい人いるんだって!! と思ったけど、割とみんなイケメンのスキンシップにしか思っていないのか、スルーしている。 「先輩、こたつ欲しいです。」 「……!!!」 「少し大きめの、ダメ?」 「俺も欲しい!」 「やったー♪」 電気で光る小さめのクリスマスツリーと、毛布や机を真剣に選んで決めたこたつを購入。 こたつは大きいから郵送にしてもらった。 今週末には届くらしい。 「みかんも買っておかない?」 「いいですね!」 結局俺は目的を忘れて、ただただ城崎とショッピングを楽しんでいた。 そしてランジェリー専門店の前を通り、ハッと思い出す。 昼休みにネットで『クリスマス デート』と調べた時に出てきた見出し。 おそらく女性向けのまとめサイトだが、『クリスマスデート♡彼と甘い夜を過ごすための準備はできた?』と書いてて、思わず中身を読んだ。 そうだ、下着だ。勝負下着!! 「し、城崎って…、セクシー系か可愛い系、どっち派?」 「は……?」 「女の子の下着!」 「いや、興味ないですけど。」 ガーンッ……。 そっか…。城崎ゲイだから………。 すげぇ機嫌悪くなっちゃったじゃん……。 質問を間違えてしまったと後悔しながら、収穫0のまま帰宅した。

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