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第401話

「ただいまー。」 「おかえりなさい!お荷物お持ちしましょうか?」 家の扉を開けると、パタパタと城崎がリビングから走ってくる。 俺をぎゅぅっと抱きしめて、何度かキスを繰り返した。 先に家で待っていた城崎は温かくて、すりすりと首筋に擦り寄ると、くすぐったそうに身を捩った。 そして俺の袋を見て、不思議そうに首を傾げる。 「なんかお買い物ですか?」 「うん。帰りに少し。」 「何買ってきたんですか?」 「内緒。今度教えてあげるから、今は詮索しないで。」 「はーい。」 城崎は紙袋は受け取らずに、俺のビジネスバッグとコートを受け取り、中へ入っていった。 城崎のことだから、クリスマスプレゼントって察している可能性は大いにあるけど、まぁ俺から言うのはやめておこう。 俺は自室に下着の入った紙袋と、圭くんにもらった紙袋を置いてリビングに入る。 「いい匂い。今日は何?」 「今日はハンバーグです。」 「うわ、嬉しい。」 「手洗ってきてくださいね、すぐ食べられますから。」 洗面所で手洗いとうがいをしてリビングに戻ると、ダイニングに夕食が並べられていた。 ハンバーグに、クラムチャウダー、あとシーザーサラダ。 全部美味しそうで口内に涎が溜まる。 「いただきま〜す。」 「どうぞ。」 ハンバーグは切った瞬間肉汁とチーズが溢れ出してきた。 すげぇ美味しい。 普通に店開けるレベルな気がするけど、独り占めしたいから店は出させない。 「城崎、美味い。」 「よかった。」 「そういえば、城崎って洋食が多いよな。好きなの?」 朝食も昼食も夕食も。 城崎の作るのはフレンチとかイタリアンとか、洋食ばかりな気がする。 和食が特別好きなわけではないけど、なんか……。 「んー。そうですね、なんか和食って家庭によって割と差があるじゃないですか。だから自信なくて、つい洋食ばっかり作ってたら得意になっちゃったと言いますか…」 「じゃあ和食も作れる?」 「多分。一応料理の基本スキルはあると思うんで。」 城崎、それだよ、俺が言いたかったのは。 城崎は気にしているみたいだけど…、俺は……。 「俺の好きな和食、城崎の味にしたい。」 「……?」 日本語難しい……。 つまり、俺にとっての家庭の味が、城崎が作る料理の味だって、そう思えるくらい城崎に染まりたい。 そーゆーの、重いのかな…。 「とりあえず和食食べたいってことですか?」 「じゃあ、まあそういうことでいい。」 「頑張ってみますね。」 「ちなみに洋食が嫌いなわけじゃないからな?俺、城崎の作る料理、本当に好きだから!」 「分かってますよ。先輩すごく美味しそうに食べてくれるから、俺も嬉しいです。」 勘違いされたくなくて伝えると、城崎は嬉しそうに寄ってきて、抱きしめてくれた。

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