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第404話

寒い中営業をこなし、とうとうクリスマスイブになった。 家庭を持つ上司の方々は、子どもへのクリスマスプレゼントの話題で盛り上がっている。 そんなことよりも、俺はいつもと違う下半身の違和感にムズムズと体を捩らせた。 例の下着をつけてきたのだ。 一応通気性もいいし、思ったよりも履いた時の気持ち悪さはなかったんだけど…。 やっぱりレースだから、いつもと違う不思議な感じはするし……。 それに、総レースを履いているという俺しか知らない謎の羞恥心が襲ってくる。 「先輩、仕事終わりそう?」 「うわっ?!し、城崎…?」 「驚きすぎ。それより、進捗状況はどうですか?」 「ん、今日はなんとか。城崎は?」 「もうほとんど終わりました。先輩の手伝いしますね。」 「早すぎだろ。」 「今日に向けて減らしておいたので。えへへ。夜、楽しみですね♡」 城崎は今から俺が捌こうとしている書類を半分くらい持って行った。 この量なら15時には終わりそうな……。 「いいなー、綾人。」 「涼真……」 「俺の、手伝って?」 「いいけど、涼真は予定あるの?」 「それ、嫌味にしか聞こえねー(笑)」 涼真はベッと舌を出して、俺に仕事を押し付けた。 その瞬間を城崎に見られて、超睨まれて全部持っていかれたけど…。 城崎仕事終わらせるの早すぎる……。 「今日望月さんに押し付けたら、全部城崎さんが捌いてくれるってマジっすか?」 「は?」 「俺彼女と予定あるんっすよ!どうしても定時で上がりたくて…!」 ちゅんちゅんが割と多めの書類の山を持って、俺のデスクに現れた。 いや、さすがにその量は無理だろ。 というか、考えが最低すぎる。 「ちゃんとやりなさい。一年目だろ。」 「えー。柳津さんサボってんじゃないっすか〜!」 「俺はいいの。城崎に認められてっから。」 フフンッ…と鼻を高くする涼真。 いや、認められてはないだろ……。 内心ツッコミを入れていると、後ろから城崎が現れる。 「喋ってる暇あったら先輩に仕事押し付けてないで、仕事やってくれませんか〜?」 「「あ………」」 すっげぇキレてる……。 涼真もちゅんちゅんも、二人揃って「すみませんでした。」と謝って、俺に押し付けた書類を持ってデスクに戻った。 城崎は「全く…」とため息を吐いて、俺のデスクに珈琲を置く。 「ありがと。」 「先輩、引き受けちゃダメ。絶対に定時で帰るんですからね。」 「わかってるよ。」 「今日の分終わったら、明日からやる分でも先に潰しといてください。人の仕事は受けちゃダメ。」 「わかった。俺のだけするから。」 「ん。………楽しみにしてます♡」 城崎はみんなに見えないようにするりと俺の太腿を撫で、デスクに戻って行った。 そして俺と城崎は定時ぴったりにタイムカードを切って、職場を出た。

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