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第405話
ホテルを目の前に、俺は足を止める。
「な、なぁ……」
「何ですか?」
「城崎、おまえここのスイートって、本当に大丈夫…?」
城崎が予約したのは都内一等地の高級ホテル。
もちろん、城崎と初めてシたあのホテルより更にレベルは上。
ここ、何階まであるんだよ…。
え、あ、こういうとこって上の方だけホテルなんだっけ?
いや、わかんねぇ。泊まったことねぇ。
絶対高い。え、一泊どれくらいするの?
いや、俺無理…!
「俺、先輩以外にお金使うことないんで大丈夫です。」
「お腹痛くなってきた…。なぁ、帰ろ?」
「キャンセル代取られるのに?」
「うっ…!で、でも…、男二人でスイートなんて……」
「こういう高級ホテルは俺たちみたいなのに水刺す失礼なスタッフなんていませんよ。守秘義務破ったら人生終わりですしね。」
城崎に手を引かれ、ロビーに入る。
天井高っ…!
大理石でピカピカだし、シャンデリアいっぱいで…、うわああ、どうすんの?これ、マジで泊まんの?
ガラス張りのエレベーターで上へ上へと上がっていく。
建物めちゃくちゃちっさい。やべぇ。
かなり上の方まで上がり、エレベーターを降りる。
フロントに着いたらしい。
「城崎様、お待ちしておりました。」
フロントスタッフ、というか俺たちには専属のコンシェルジュが付いているらしく、荷物を預ける。
仕事終わりだから、スーツで来ちゃったんだけど。
コートとマフラー、鞄を渡し、コンシェルジュの後をついていく。
何処ぞの御子息にでもなった気分だ。
「先輩、大丈夫?」
「む、無理…。お腹痛い…。」
「先に部屋で休む?クリスマスディナーとかも予約してるんですけど。」
「うぅ……。食べる……。」
キュッと城崎の服の裾を握ると、城崎は裾を握る俺の手を取り、恋人繋ぎで握りなおす。
うわぁ、余計緊張するじゃん…!!
「すみません。レストランの前に、部屋だけ寄っていいですか?」
「承知いたしました。こちらへどうぞ。」
コンシェルジュに案内され、またエレベーターに乗る。
手汗すごいの、バレてるんだろうな。
城崎、こういうの慣れてんのかな…。
すげぇスマートで惚れ直しそうなんだけど。
「到着いたしました。50階、本日城崎様がご宿泊されるお部屋になります。ラウンジ以外にもフィットネスクラブや室内プールのご利用も出来ますのでお気軽にお声掛けください。」
コンシェルジュは一礼してフロントへ戻って行った。
城崎に鍵を渡され、ドアを開けて中へ入る。
玄関を入って最初にあったのは、バスルームだった。
「このスイートだけだったんですよ、ビューバス。」
「すげぇ……。」
バスタブから夜景が見える。
街の灯りがキラキラと光って、なんか別世界に来たみたいだ。
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