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第406話

「先輩、あとでいっぱい楽しみましょうね。」 「え……、う、うん……。」 「あっちにもっと綺麗な夜景ありますから。ほら、来て?」 城崎に腕を引かれ、奥に進む。 キングサイズの大きなベッドが置かれたベッドルームを突っ切り、リビングルームにたどり着いた。 目の前には都内を一望できるパノラマビュー。 東京タワーも、スカイツリーも。 そしてイルミネーションでライトアップされた夜景がキラキラと俺の目に映った。 「すご………」 「気に入ってくれました…?」 「うん。すごい。すごいよ、城崎!見て、あそこ!」 「どれ?」 「あれ、東京タワー!」 「本当ですね。」 「そんで、あれが………ッ」 「可愛いけど、俺のことも見て?」 夜景にはしゃぐ俺は、城崎のキスに動きを止めた。 あまりにも真っ直ぐに見つめられて、心臓が直に掴まれたみたいにギュッと苦しくて…。 「城崎……」 「先輩、メリークリスマス。」 「んっ…、ん…ぁ……」 蕩けるような口付けに、俺は力を抜いて城崎に体を預ける。 何度も唇を重ね、ゆっくりと城崎の顔が離れていく。 ぽけーっと城崎を見つめる俺を見て、城崎はぷっと堪えきれないように笑った。 「気持ちよかった?」 「へ……?」 「超かわいい。世界一可愛いです、先輩。」 「も……、いいからそーゆうの…。」 「緊張解けたみたいだし、レストラン行きましょうか。」 城崎に連れられてレストランへ降りる。 席に着いて、少しずつ運ばれてくるコース料理一つ一つに俺は舌鼓を打った。 今日は特別だからと、ワインも飲ませてくれるし、もうとにかく料理が綺麗だし美味しいし…、最高……。 「たまには外食もいいですね。」 「ん……。でも、城崎の手料理が一番好き。」 「そんなの言ってくれるの先輩だけですよ(笑)」 頬張りながら喋ると、城崎が微笑む。 あー、なんて幸せなんだろう。 こんな堂々と男二人でクリスマスデートできると思わなかった。 デザートを食べ終え、満足してお腹を押さえると、城崎は俺に上着を羽織らせて尋ねる。 「もっと飲みたい?」 「え、いいの?」 「バーがあるので、もう少し飲みましょう。」 「やったー!」 既に少し足下がおぼつかないけど、城崎に支えられながらよたよたと歩く。 「先輩、本当に大丈夫?」 「へへ。だいじょーぶ。」 「まだ呂律回ってるからいいか…。寝たら許さないですよ?」 「風呂も、えっちもまだだろ?寝ないもん。」 「はぁ……、この場で襲いそう……。」 肩に回された城崎の手に力がこもり、俺は嬉しくてぴったりと城崎に体を寄せる。 あぁ、幸せすぎるよ。 最高のクリスマスイブだ…。

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