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第407話
バーにはカウンターもあって、とりあえずそこに腰を下ろす。
最近バーなんか行ってないから、カウンターに座るなんていつ以来だろうか。
バーテンダーは外国人で、城崎は流暢な英語で注文する。
格好良すぎるんだけど。俺の彼氏…。
「先輩、どうぞ。」
「あ〜、懐かしい、これ。」
目の前に置かれたのはスクリュードライバー。
城崎が初めて俺に意味を付けてくれたカクテル。
貴方に心を奪われた……、だっけ?
嬉しくてついニヤける。
「ねーねー、城崎ぃ〜。」
「なんですか?」
「俺、シェリー酒飲みたいな…?」
「…っ!」
俺がそう言うと、城崎は頬を赤く染めた。
ふふん。俺だって勉強したんだからな。
いつかくる酒言葉あそびのために。少しだけ。
城崎の太腿に手を置き、体を寄せる。
「ダメ…?」
「ど、どこで覚えてきたんですか…。」
「城崎のために勉強したぁ〜。」
「はぁ…。……元からそういう予定だし…っ」
なんだかんだ城崎はシェリー酒をバーテンダーに頼んでくれて、俺の前に置く。
シェリー酒に込められた意味は、
"今夜は貴方に全てを捧げます"。
女性サイド、俺と城崎でいう俺が「飲みたい」とお願いすると、"あなたと今夜は一緒に寝たい"という意味に変わる。
「飲みやすいけど、キツイですからね、それ。」
「んー。はーい…。」
こくん…と少し口に入れると、濃厚でとろんとした口当たりの良い甘い味がした。
美味しくて一気に飲むと、城崎に怒られる。
「度数キツイんだって。」
「ん〜。おいひい…。」
「先輩、呂律。」
「お、い、し、い。」
「はぁ……。」
カウンターに突っ伏す俺にため息をついて、城崎も何種類かお酒を煽っていた。
綺麗な色のお酒が運ばれて、城崎の口の中に消えていく。
何回か欲しいとお願いすると、一口だけくれた。
結局立つことも難しいくらいフラフラになって、俺は城崎におんぶされて部屋に戻る。
「ミスった…。飲ませすぎた……。」
「らいじょーぶ。俺えっちれきるもん…。」
「本当ですか?」
こんなにベロベロに飲んで勃つのかはさておき…。
気持ちだけは負けてない。
クリスマスえっち、するんだもん。
「ちょっと待っててなぁ…。えっとぉ…」
「先輩、一人じゃ……」
「見ちゃらめぇ。あっちれ待っててぇ!」
千鳥足でベッドルームに向かう。
着るか分かんないけど、一応持ってきたんだよな。
たしかここに………、あった。
城崎をリビングルームへ追いやり、さっきベッドの影に置いた紙袋を探ると、圭くんから貰ったサンタコスが出てきた。
結局まだ一度もちゃんと見ていなかったけど、ちゃんとサンタコスだ。
ご丁寧に網タイツまで入ってて、俺は今着ている服を脱ぎ捨てて、初めてタイツに脚を通した。
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