413 / 1069

第413話

「先輩……」 城崎がお腹を押さえながらよろよろとバスルームに戻ってきた。 心の中では許したけど、反省の色を見せるまで怒ってるふりをしようと、ふんっと顔を逸らす。 「先輩、ごめん。」 「…………」 「変態でごめんなさい。でも、先輩のこと好きだから…、仕方ないっていうか……。許してください。」 「好きな人のトイレ見たい奴とか無理。」 「いや…、その、だって新人の時は片想いだったから…。先輩の下の大きさとかこの目で見たかったのとか…その……。」 「………」 「今日は単に恥ずかしがる先輩が可愛かったから…。ごめんなさい。」 なんだよ、その理由。 怒るに怒れないというか…。 俺のこと好きって理由ばっかりじゃん…。 「別にそういうシュミじゃない?」 「え…?」 「スカトロとか…そーゆーの、俺無理……。」 「違います!先輩が恥ずかしがってる顔見たかっただけ…!別に先輩のおしっこもうんちも全然大丈夫ですけど…!」 「大丈夫とか言うな、バカ。」 よかった……。 実は城崎が放尿プレイとかスカトロが好きなド変態だったら、本当にどうしようかと思った。 「これからはああいうのやめて…。」 「うん。ごめんなさい…。」 「もう許すから……、一緒に風呂入ろ?」 城崎の腰に手を回すと、優しく抱きしめられる。 「嫌なことしてごめんね」と何度も謝る城崎が可愛く見えてくる盲目な俺。 嫌だったけど、城崎が変な性癖持ちのド変態だったとしても、俺別れられないかもしれない……。 こいつのこと、好きすぎて。 「湯加減、どうですか?」 「ん。合格。」 「よかった…。」 城崎の上に座りながら、足を伸ばして湯船に浸かる。 少し照明を暗くすると、夜景がさらに綺麗に見えた。 「ビューバス、初めてですけど良いですね。」 「うん。綺麗…。」 ここからは東京タワーは見えないけど、クリスマスだからイルミネーションがキラキラと街を彩っている。 こんな綺麗な夜景を見ながらだったら、何時間でも入れそうだ。 脱力して城崎の肩に頭を乗せると、顔を寄せられる。 キスするのかな?と思ったけど、前髪の生え際やこめかみにキスしてくるだけで、唇には近付いてこない。 なんだよ…、焦ったいな………。 「城崎…、こっち。」 「ん……」 体を捻り、城崎に跨って唇を重ねる。 バスルームだから、深くキスすればするほど、音が響いて興奮が昂る。 「ん……、ふ………」 「先輩、もっと舌出して。」 「んぁ…っ」 唾液が絡む音とか、俺たちが揺れて波打つ水面の音とか、全部エッチな音にしか聞こえなくて、わざと水面を叩いてピチャンッと音を立てる。 「蕩けた顔、最高です…」 「んっ…ンァ…♡」 「俺に全部預けて…?」 耳元で囁かれて、俺は身体から力を抜く。 やっとするんだ……。 そう思ったのに、城崎はバスジェルを入れて蛇口を捻った。

ともだちにシェアしよう!