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第427話

19時半、Aquaを出て街に繰り出す。 Aquaの近くはネオン街だから常にキラキラしてるけど、駅から都心に行くと別世界だ。 キラキラと白や青、赤に黄色にピンク。 さまざまな色が街を明るく照らす。 大通りが何キロか(ごと)に統一した色でライトアップされて、綺麗だ綺麗だと言いながら、知らぬ間にかなりの距離を歩いていた。 かなり歩いたところで広場に辿り着き、大きなクリスマスツリーを眺める。 「綺麗だな。」 「はい。あ…。あっちに出店ありますよ。」 「本当だ。」 「何か買ってきますね。ここで待ってて?」 クリスマスツリーの下。 城崎は自分のマフラーを俺の肩にかけて、走って出店の方まで行ってしまった。 周りは男女のカップルばっかりで、俺たちはきっと周りから見れば浮いてるんだろうな…なんて思ってしまう。 城崎のそばにいたいって気持ちは変わらないけど。 俺たちみたいな男同士も、当たり前のように受け入れてもらえる世界になればいいのにな…。 ついそんなことを願ってしまう。 「先輩、ごめんね。遅くなっちゃった。」 「んーん。大丈夫。ありがと。」 城崎が出店の方から戻ってきた。 手には湯気の立った少し洒落た紙コップ。 「何それ?」 「ホットワイン。先輩さっき飲めなくて怒ってたから。」 「いいの?」 「先輩のことだから、さっき飲んだらイルミネーション来れなかったでしょ?もうあとは帰るだけだし。少しだけ許してあげます。」 なにそれ…。 俺にお酒飲ませなかった理由、一緒にイルミネーション来たかったからとか…。 そんなの嬉しすぎ。 「城崎…」 「あ、雪降ってきた。」 しんしんと雪が降り始めた。 ホワイトクリスマスだ。 「寒…っ」 「先輩。」 「わっ…!」 手を握られて、城崎のコートのポケットの中に入れられる。 あったかくて、そして何より照れ臭い。 「それ飲んだら、帰りましょう。」 「うん……。」 「早く、先輩にたくさん触れたい。」 「俺も……。」 ポケットの中で指を絡め合う。 早く二人きりになりたくて、ふーふーとワインを冷まして飲み切って、帰路へと急いだ。

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