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第429話

目が覚めるといつのまにかもう朝で、クリスマスは終わっていた。 そして俺は何故か、着たことも買ったこともないモコモコパジャマを着ている。 「先輩、おはよ…。」 「んっ…、じゃなくて…!このパジャマ何?!」 おはようのキスをされ、そのままディープキスにもつれ込みそうになったのを止める。 城崎はにっこり笑って俺を抱き寄せた。 「もういっこのクリスマスプレゼント♡」 「へ?」 「リビングに準備してたけど、先輩寝ちゃうんだもん。せめてクリスマスに開けなきゃ意味ないなーと思って、昨日俺が開けて着せちゃいました。」 えへへ〜と笑いながら、俺に擦り寄る城崎。 これ、俺へのプレゼントというか、自分へのプレゼントなのでは…? でもこんな可愛い城崎が見られるなら、俺へのプレゼントでもあるのか…。 「これ気持ちいいな。」 「でしょ〜。ずっと先輩抱きしめて寝るんです♡」 「あったかいし。」 「うんうん♡先輩カイロですね〜」 「でもなんで白で短パンなんだよ…?」 一応俺、男なんですけど…。 女の子の有名ルームウェアブランドみたいなの買ってくんじゃねえ。 色だって、黒とかグレーとか色々あっただろと文句を言おうとすると、いきなり頭に何か被された。 「実はこれ、羊さんなんですよね〜。」 「?!!」 「フード付き。ついでに尻尾付き♡」 「ひゃっ!」 尻を掴まれて思わず声が出る。 耳の付いたフード、尻尾のついた短パン、ふわふわパジャマ。 「いや、俺男だから!!」 「俺の可愛い可愛い恋人でしょ?男も女も関係ない。パジャマに罪はないですよ、先輩。」 「それっぽいこと言ってそうで、何言ってっか分かんねぇよ!!」 「あはは〜。」 脱いでやる!と一瞬思ったが、俺としてはこれが城崎に可愛いと思ってもらえるなら、脱ぐ必要はないのではないか…?なんて考える。 世間一般から見て、30歳男がこんな服着てたらもうグロでしかないが、パジャマなんて城崎にしか見せないし、その城崎が可愛いって言ってくれてるなら…。 もしかして、悪くない……かも…? 「か、可愛い……?」 「はい♡と〜っても似合ってます♡」 「いつものパジャマより?」 「こんな格好してたら、ずっとイタズラしたくなっちゃいますね♡」 「…………」 よし。着よう。 恥ずかしがらずに着よう。 せっかく城崎がくれたプレゼントだし。 それに、城崎に可愛いって思って欲しいし…。 「替えでウサギさんとワンちゃんも買ってきてますから♡毎日洗っても大丈夫です♪」 「なっ…?!バカ!!」 「それほどでも〜♪」 俺は城崎の思惑通り、毎日代わる代わる違う動物のパジャマを着て、城崎の腕の中で眠った。

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