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第432話
はぁ?
あー、もう腹立った!
なんだよ。あれだけ言ってたくせに!
隙見せまくりじゃんか!城崎のバカ!!
「え、望月さん弱いんじゃ…」
「もういい。飲む!」
グイーッとジョッキなみなみに注がれたビールを煽る。
くらぁ〜っとするけど、前ほどじゃない。
もうちょっとくらいなら飲める気がする。
「私もちょっと酔ってきちゃいました…♡望月さん、少し肩お借りしてもいいですかぁ…?」
「…………」
諸角さんが俺の腕に胸をぴったり当てて肩に顔を置いてるが、俺は全く気にも留めず、城崎を睨む。
腹立つ!!腹立つー!!!
俺の城崎なのに!隣は俺って言ってたのに!!
ぷくーっと頬を膨らませていると、諸角さんがくすくす笑った。
「望月さんって酔うと可愛いですね♡一体何に怒ってるんですか?」
「だって見て!あれムカつく…!!」
「え…?あぁ、城崎さん……?秘書課でも大人気なんですよ。でも、私は望月さんが……」
「ちょっと行ってくる!」
「えっ?望月さんっ?!」
諸角さんの手を振り解き、俺は城崎の元へ向かった。
「すみません。」と秘書課の女の子達を押し退け、我が物顔で城崎の隣に座る。
「先輩っ?!」
「バカ。嘘つき。女ったらし。どうせ愛想振りまいて、その気にさせるような態度取ったんだろ。最低。バカバカバーカ。」
言いたいことだけ言いまくって、城崎のお椀によそわれた野菜やつみれを頬張る。
美味ぇ…。なんかしょっぱいけど。
「望月、なんで泣いてんの?」
「泣いてねーもん。」
前に座る同僚に笑われて気づく。
俺泣いてるんだ。
知らねー。城崎が悪いもん。
城崎は慌てて秘書課の女の子達に断りを入れ、俺のフォローに回る。
あたふたしてる。ざまぁみろ。
「先輩…、ごめんね?本当ただ、ちょっと話してただけで…。」
「知らない!もう勝手にすればいいじゃん。」
「ねぇ、泣かないでよ…。」
「泣いてねーってば!!」
「ちょ、ダメ…!!」
俺は城崎の前にあったジョッキを手に取り、一気に煽る。
あーふわふわする。
もうこれくらい頭働かない方が、嫉妬とかせずに済むし楽だ。
俺は俺で勝手にさせてもらう。
俺は隣にいる城崎の肩に頭を乗せ、ゴロゴロと喉を鳴らす猫のように甘えながら擦り寄った。
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