432 / 1069

第432話

はぁ? あー、もう腹立った! なんだよ。あれだけ言ってたくせに! 隙見せまくりじゃんか!城崎のバカ!! 「え、望月さん弱いんじゃ…」 「もういい。飲む!」 グイーッとジョッキなみなみに注がれたビールを煽る。 くらぁ〜っとするけど、前ほどじゃない。 もうちょっとくらいなら飲める気がする。 「私もちょっと酔ってきちゃいました…♡望月さん、少し肩お借りしてもいいですかぁ…?」 「…………」 諸角さんが俺の腕に胸をぴったり当てて肩に顔を置いてるが、俺は全く気にも留めず、城崎を睨む。 腹立つ!!腹立つー!!! 俺の城崎なのに!隣は俺って言ってたのに!! ぷくーっと頬を膨らませていると、諸角さんがくすくす笑った。 「望月さんって酔うと可愛いですね♡一体何に怒ってるんですか?」 「だって見て!あれムカつく…!!」 「え…?あぁ、城崎さん……?秘書課でも大人気なんですよ。でも、私は望月さんが……」 「ちょっと行ってくる!」 「えっ?望月さんっ?!」 諸角さんの手を振り解き、俺は城崎の元へ向かった。 「すみません。」と秘書課の女の子達を押し退け、我が物顔で城崎の隣に座る。 「先輩っ?!」 「バカ。嘘つき。女ったらし。どうせ愛想振りまいて、その気にさせるような態度取ったんだろ。最低。バカバカバーカ。」 言いたいことだけ言いまくって、城崎のお椀によそわれた野菜やつみれを頬張る。 美味ぇ…。なんかしょっぱいけど。 「望月、なんで泣いてんの?」 「泣いてねーもん。」 前に座る同僚に笑われて気づく。 俺泣いてるんだ。 知らねー。城崎が悪いもん。 城崎は慌てて秘書課の女の子達に断りを入れ、俺のフォローに回る。 あたふたしてる。ざまぁみろ。 「先輩…、ごめんね?本当ただ、ちょっと話してただけで…。」 「知らない!もう勝手にすればいいじゃん。」 「ねぇ、泣かないでよ…。」 「泣いてねーってば!!」 「ちょ、ダメ…!!」 俺は城崎の前にあったジョッキを手に取り、一気に煽る。 あーふわふわする。 もうこれくらい頭働かない方が、嫉妬とかせずに済むし楽だ。 俺は俺で勝手にさせてもらう。 俺は隣にいる城崎の肩に頭を乗せ、ゴロゴロと喉を鳴らす猫のように甘えながら擦り寄った。

ともだちにシェアしよう!