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第433話

城崎とくっついてると、なんかさっきのことどうでも良くなってきた。 飲みすぎたかな…、頭回んねぇ……。 でもずっとこうしたいなぁ。 「城崎が望月に懐いてんのかと思ってたけど、逆だった感じ?」 「いや、合ってますよ。俺が懐いてるんですけど、先輩お酒入ると甘え上戸なだけで。」 「へぇ〜。望月がお酒弱いのは知ってたけど、甘えるの初めて見たかも。」 「あ〜はは…、俺が尽くしすぎて甘えやすいのかも…?」 「あ、そっか。そういえば望月、同棲してんだっけ?城崎、彼女と間違えられてんじゃねぇの?」 同僚と城崎が話してる。 もー…。今は俺のことだけ見てればいいのに…。 ぷーっと頬を膨らましていると、右腕に柔らかい何かが当たった。 「望月さぁん!お話の途中だったのに…」 「もろ…ずみさん…?」 「きゃあ♡望月さんって酔うと甘えたさんになっちゃうんですね♡可愛いですっ♡♡」 さっきから、この人なんでこんなに距離近いの? グイグイと押し付けられる胸に戸惑っていると、城崎が俺の肩を抱いて立ち上がった。 「ちょっと一回この人吐かせてきます。」 「え…。」 「すみません。気にせず楽しんでてください。」 「ちょ、城崎ぃ…?」 城崎に肩を抱かれ、宴会場を後にする。 無理矢理連れていかれているように見えるこの状況を、廊下ですれ違う別団体のお客さんに見られながら、トイレに連行された。 個室に連れ込まれ、ガチャンと鍵を閉められる。 「先輩、あれ何。」 「あれって何だよ…?」 「秘書課の人!!距離近くないですか?!」 「おまえだって(はべ)らせてたじゃんか…。」 「勝手に寄ってきただけです!大体先輩はいっつもそう!海の時だって胸押し当てられてたし!隙だらけなんですよ!!」 城崎がすごい剣幕で俺に怒鳴る。 だって……、仕方ないじゃんか。 「城崎が悪いもん……。」 「は?何でですか。」 「城崎が俺のこと待たずに女の子侍らせてたもん!だからイライラして酒煽ったらあんま気になんなくなっただけ!城崎が女の子といなかったら、酒だってセーブしたから防げたもん!!城崎のば…っ、ン……♡」 さっきの光景を思い出すとまたイライラして、城崎にいっぱい文句言ってやるんだって、思ってたこと全部口にしようとしたら、唇を塞がれた。 腰砕けになりそうなくらい気持ちよくて、もっともっとと強請るように城崎の首に手を回す。 「…………機嫌治った?」 「ただのご機嫌取りかよ…。」 「違う。謝ろうと思って。」 「え?」 「俺、先輩だけが悪いみたいな言い方しちゃいました。俺も先輩が隣にいなくて腹立って、先輩に嫌な思いさせちゃったんですね…。ごめんなさい。」 城崎はついばむようにキスを繰り返して、俺に何度も「ごめんね」と謝った。 うう……。 「城崎……、好きぃ…。」 「俺も大好きです。」 「もっとチューして…?」 上目遣いにお願いすると、城崎は我慢できないといった表情で、何度もキスを繰り返した。

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