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第435話
朝起きたら、しんしんと雪が降っていた。
屋根や路面にうっすらと雪が積もっている。
「城崎、見て!雪!」
「ん……、おはようございます。先輩、この歳でそんなに雪ではしゃぐのはさすがに可愛すぎるんですけど…。」
「うわぁっ!?」
腕を引かれてベッドに逆戻り。
裸の城崎に抱きしめられて、おはようのキスされて、ドキドキの胸が跳ねた。
「先輩、今日どうする?」
「ん?」
「年越し。日付変わる前に家出て初詣行ってもいいし、家でのんびり年越しでもいいし。」
そっか。
今日、大晦日なんだ。
「城崎はどっちがいい?」
俺は特にこだわりはない。
外でも家でも。
毎年大掃除してるけど、9月に越してきたばかりだし、城崎がいつも綺麗にしてくれてるからその必要もなさそうだ。
城崎は「ん〜」と唸りながら、俺のお腹を撫でた。
「年越しエッチしません?」
「?!!」
「俺、先輩の中で年越ししたい。いい?」
聞くな!!
うわ、もう、俺絶対顔赤いし…!!
「先輩、茹で蛸みたい。」
ほらな?!
もー……、不意打ちやだ……。
「先輩〜、いい?」
「………いい、けど…」
「は〜……、先輩大好き。煩悩を払いながらエッチしましょうね♡」
「払えてねーじゃん…。」
煩悩払ってたらエッチはしねーよ。
神様に怒られるわ。
城崎はそんなこと気にしてなさそうだけど。
「てことで、年越しは家の中でしましょうね♡初詣は明日の朝にでも行きましょうか。」
「ん、わかった。……あ、でも明日昼にはここ出るぞ?」
「え?」
「実家に顔出せって言われてんだよ。三が日、親戚集まるからって。」
そういえば昨日親から連絡が来てたんだった。
年末帰らないなら、せめて年始に帰ってこいと。
何やら話があるとか言ってた気もする。
「先輩と3日も離れるんですか?うわぁ、きつ。先ぱぁい…。」
「ごめん…。昨日言われてて、そのまま忘年会だったから、伝えるの忘れてた。」
「むぅ〜……」
「城崎は実家帰んないの?」
一人暮らしだと、大抵帰ると思うんだけど。
一人暮らしじゃなくても、三が日は親戚の家に顔出しに行くだろうし。
「先輩が居ないなら帰ろうかな…。」
「うん、そうしな。葉月くんもいるじゃん。」
「先輩見ててわかんないんですか?俺、葉月と仲悪いですけど。」
「喧嘩するほど仲がいいって言うだろ。」
「いや、悪いですよ。」
心底嫌そうな顔をする城崎。
えー…?弟って可愛いけどなぁ…。
葉月くん、生意気だけどそこがまた可愛い感じだったし。
「あ。先輩また葉月のこと考えてるでしょ。」
「ひゃっ…!?」
「お仕置きです。てゆーか、先輩と離れるの寂しすぎるから今日はいっぱい甘えさせて?」
城崎に押し倒されて、唇が重なる。
今年の大晦日は、恋人と濃ゆくて甘〜い二人だけの時間を堪能することになりそうだ。
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