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第437話

濃密な大晦日を過ごし、身も心も熱々な俺たちは二人で新年を迎えた。 初日の出が見たいかと聞かれたけど、城崎とベッドでのんびりしていたかったから、いらないと断った。 うとうとしてたら城崎にぽんぽんされて眠ってしまって、起きたらもう日は昇っていた。 「初詣行きますか?」 「ん〜……、寒い……。」 「お昼には出ちゃうんでしょ?まぁ俺はこのまま先輩抱きしめてるだけで幸せですけど。」 城崎の胸元に頭をぐりぐりしてると、城崎はチュッチュッと俺の髪にキスを落とす。 初詣なぁ…。 城崎と一緒に行きたいけど、動きたくない…。 「こんなにぐうたらさんな先輩、普段仕事してる姿しか知らない人が見たらびっくりするでしょうね。」 「起こして…。」 「行くの?初詣行くなら起こしますけど。」 「行く…。」 「じゃあ起こしてあげる。」 城崎はニヤッと笑い、布団を剥ぎ取った。 ほぼ裸だったから、肌を刺す冷気に身を縮こまらせる。 「寒いっ!!」 「先輩、起ーきーて♡」 「起きるっ…、寒い〜!!」 布団から飛び起きて服を着込む。 オフホワイトのニットに黒いスキニーを履いて、厚手の靴下を履く。 城崎は俺と色違いの黒のニットに黒のスキニーを履いた。 「ちょ…、恥ずいんだけど。」 「いいじゃないですか♡お揃いコーデで初詣♡」 「………」 まぁいいか…。 どうせマフラーも違うし、コートも違うし、バレないだろ…。 「先輩、お雑煮食べます?」 「食べる。」 「お餅何個いりますか?」 「3つ。」 こたつで暖をとりながら待っていたら、城崎がお雑煮を作って目の前に置いてくれた。 お餅久々だ…。 「改めて、あけましておめでとうございます。」 「あけましておめでとうございます。」 お互いペコリと頭を下げる。 いただきます、と手を合わせてお雑煮を食べる。 「うま…」 「来年はおせち作れるようになっておきますね。」 「マジで?楽しみ。」 「まだ一年も先の話ですけどね。先輩はおせちの中で何が好きですか?」 「ん〜。黒豆と栗きんとん。」 「ふっ…ふふっ……」 思い出しながら、好きと言われて思いつくものを口にすると、城崎は堪えきれないように笑った。 ムッとして城崎を睨む。 「なんだよ…。」 「先輩、子どもみたい…(笑)」 「悪かったな、子どもで。」 「ううん、すっごく可愛いです。」 ぎゅーっと抱き寄せられると、それだけで幸福感に満たされた。

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