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第438話
電車に乗って近くの神社に向かう。
そこそこ大きなところだから人も賑わっていて、会社の人がいてもバレなさそうだ。
手水を行い、列に並んで参拝する。
どうか今年もお互い健康に、城崎と一緒に過ごせますように。
二拝二拍手一拝。
神様に願って神前を後にする。
「先輩は何願ったの?」
「内緒。」
「俺は、先輩が俺のそばで健康に過ごせますようにって祈りました。」
「っ…///」
祈ってる内容、ほぼ同じだ。
同じように思ってくれてたのが嬉しくて顔が赤くなる。
「あ、先輩。あっちにおみくじありますよ。引いてみましょう!」
城崎に手を引かれ、社務所の列に並ぶ。
巫女さんにお金を渡し、角柱の御神籤 箱を受け取って、ガラガラと音を立てて棒を引いた。
番号の紙をもらって、城崎も引いて社務所から離れる。
折り畳まれた紙を開くと、俺の紙には「中吉」と書かれていた。
「先輩、どうでした?」
「ん、中吉だって。」
「俺は吉です。仕事は新規開拓が吉。恋愛は……、争いあり。誠意を尽くせ。」
争い…?
喧嘩ってことか?
今更何も喧嘩することなんてない気もするけどな。
自分のおみくじの恋愛運にも目を通す。
「俺のは、今の人が最上迷うな。」
「大当たりですよ。先輩、迷っちゃダメですからね!」
「…んなの分かってるよ…。」
後にも先にも城崎が一番俺のこと愛してくれてると思うし…。
自分が生きていく人生の中で、一番好きな人が城崎だって自信ある。
「あ、先輩の仕事運良さそうじゃないですか?」
「ん?」
「周囲からの応援で出世のチャンス。俺がたくさん応援してますから、きっと出世も近いですね。」
「たかがおみくじだろ。そんなうまくいかねーよ。」
「でも恋愛は当たってるじゃないですか。」
自意識過剰じゃん。
いや、間違ってないけど。最上だけどさ。
ブツブツ言っていると、城崎に手を繋がれる。
「おみくじ結びますか?」
「いや、いいよ。財布に入れとく。」
結果そんなに悪くなかったしな。
小さく折り畳んで財布に入れると、城崎も真似をして財布に入れた。
俺の手をぎゅっと握って、大きなため息を吐いた。
「はー…。家帰ったら先輩が実家戻っちゃうから寂しいですけど、そろそろ戻らないとですね。」
「あー、本当だな…。」
「ベビーカステラ買って帰りますか?」
「うん。食べる。」
出店でベビーカステラを一袋購入し、食べ歩きながら駅へ戻った。
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