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第442話

中途半端な時間におせちを食べたので、夜は各自お腹が空いた人だけっていう制度。 実家は毎年こんな感じ。 おせちと餅ってお腹膨らむしな。 「母さん、風呂先にもらっていい?」 「いいわよ〜。」 父さんと母さんはお正月の特番を見ていて、大翔は勉強に勤しんでいたので、一番風呂を頂くことにした。 城崎との約束は21時だから……、うん、長風呂しない限り間に合うはずだ。 久々の実家の風呂に浸かると、ざぱーんとお湯が溢れた。 「気持ちぃ〜………」 鼻の上まで浸かって、時々顔を上げて息継ぎする。 最近毎日城崎と一緒に入ってるから、久々の一人風呂は湯舟が広く感じた。 気持ち良すぎて寝落ちそうになっていると、コンコンと磨りガラスの扉が叩かれる。 「兄さん、お背中流してもいいですか?」 「大翔?どうした?」 「久々に兄さんとお風呂に入りたくて…。ダメですか?」 もう風呂に浸かってるし、背中を流してもらう必要はないけど…。 まぁ大翔だからいいか。 「いいよ。」 「本当ですかっ?!では、お邪魔します!」 ガラガラっとドアを開けて大翔が入ってきた。 まぁ体も立派に育って…。 当たり前だけど。 「一緒に風呂入るのなんて何年振りだ?」 「兄さんが家を出る前だから、えーっと…、7年ぶりくらいですか…?」 「ふっ…、それなら大翔が9歳かそこらの時か?まだ小学生の小さい頃だったな。」 大翔は筋肉が付きにくくて、ひょろっこい。 肌が白くて、少しどこかにぶつけたりしたら、青痣が痛々しく浮いていた記憶がある。 俺と違って綺麗な顔立ちしてるから、思春期に入った頃に女だなんだと揶揄われ虐められていたと母さんから相談を受けたこともあった。 中性的な美人顔でこんな白くてひょろっこかったら、揶揄われるのも無理はないかもしれない。 にしても、城崎以外の人の裸、久々に見たな…。 城崎は健康的な肌色で、適度に筋肉があって、それに胸板も厚くて男らしい身体だ。 あー、やばい…。 思い出したら勃ちそうになる。 家族である大翔の裸なのに、城崎と比べてしまう自分がいて自分自身に苦笑する。 「兄さん………、これ、虫刺され…?」 「へ?……………あ。」 大翔は至近距離で俺の体を見つめ、わなわなと震えた。 今の今まで何も言われなかったから忘れてた。 俺の身体、城崎のキスマークでいっぱいだってこと。 「兄さん、痒くないの?この時期に蚊?東京ってそんなに暖かいんですか?」 「あー、わ、悪い。これは…その……、えっと……」 何で言えばいいんだ? キスマークとか知ってる? 大翔は純粋でこういうことに疎いから、もしかしたらキスマークなんてものすら知らないのかも知れない。 「あ、愛の証……?的な?」 「………ってことは、兄さんの彼女…ですよね……。こんなに付けたら、兄さんの身体が可哀想……。痛くないんですか?」 「痛くはねーよ…?」 大翔はかなり目が悪いから、風呂場に入った時は気づかなかったようだ。 俺の体をぺたぺた触りながら、心配そうにキスマークを撫でる。 痛くないと伝えると、不思議そうな顔をした。

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