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第444話
スマホを確認すると、城崎から2件不在着信が入っていた。
「ぷっ…、まだ10分過ぎただけだっつの。」
21時頃と言っただけなのに、待ちきれなくてかけてくる城崎が可愛くて、思わず独り言を呟いてしまう。
もっと焦らしてやろうかなとか、俺からかけたらワンコールもしないうちに取るんじゃないかとか、そんなこと考えていたら、焦らす間も無く城崎からの着信でスマホが震えた。
「もしもし。」
『あ、先輩!遅刻ですからね?!』
「ごめんごめん。長風呂しちゃって。」
『珍しい〜…。あ、先輩、ビデオ通話に切り替えてもいい?』
「うん。あ、ちょっと待って。イヤホンに変えるから…」
イヤホンをつけてから、画面の真ん中にあるビデオ通話許可のボタンを押すと城崎の顔がドアップで映り、俺の顔を見てニコッと嬉しそうに笑う。
あー……、好き………。
『先輩、それ学生の時のジャージ?』
「え…、あ、うん。急いでて何も考えずに着てた。だせーな、これ(笑)」
『すっごく可愛い。実家ならではですね。』
ニコニコの城崎が可愛すぎて胸がキュゥ〜っと苦しくなる。
俺真っ青のダサいジャージ着てんのに、なんでそんな顔すんの?俺のこと好きすぎじゃん…。
城崎はいつもと変わらず、スウェットにジャージだ。
「城崎も学校のジャージ着ろよ…。」
『ダサすぎて捨てちゃいましたよ。残念でした。』
「ちぇ……。」
ちょっと見たかったな…。
拗ねてる俺を見て、城崎はクスクス笑う。
『先輩、服捲って?』
「え?」
『お風呂上がりの先輩の肌、綺麗なピンク色で好きなんです。今日も見たい。』
そんな声でお願いされたら聞いちまうだろ…。
服の裾を掴んでぺらんっとお腹を晒す。
『先輩、もっと上。乳首も見たい。』
「……っ」
『本当に今上がってきたんですね。ね、先輩…、脱いで?』
イヤホンだから耳元で囁かれてるみたいで、言われるがままジャージを脱ぐ。
寒いけど…。城崎が見たいって言うから……。
上裸になってカメラから目を逸らす。
いつもなら何か言ってくれるのに、反応がなくて横目に画面を見ると、城崎がめちゃくちゃ不機嫌な顔をしていた。
『ねぇ先輩。』
「な…に……?」
『そのキスマーク、誰に付けられたんですか?』
「っ?!!」
トントン…と右の鎖骨を指差して、城崎が冷たい目で俺を睨む。
なんでバレてんの?!
あんなにいっぱいキスマークあったら、いちいち付けた場所なんて覚えてないだろ、普通…。
『先輩……。誰に付けられた?』
「あ…の……、これは…」
『場合によっては今すぐ先輩のご実家に伺いますけど。』
目が本気だ…。
正直に話せば許してくれる…?
「城崎、ごめんっ!」
『………』
「大翔……、弟が付けた。」
『どういった経緯で?それ以外は何かされた?』
淡々と話す城崎に、俺は正直にあったこと全てを話した。
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