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第449話
『間も無く〜、東京〜、東京〜………』
快速電車に乗って1時間と少し、やっと東京に着いた。
ここから乗り換えて、あとは最寄駅まで向かうのみだ。
オムライスだし、ミネストローネでも買って帰るか。
惣菜などが売ってる方へ足を向けようとした時、スマホが鳴った。
『そろそろ東京駅着きましたか?寄り道はしないで、真っ直ぐ帰ってきてくださいね!』
…………。
メッセージを見て、目が点になった。
俺のすることなど、城崎にはお見通しだったようだ。
言われた通り最寄駅へ続く電車のホームに降り、最寄駅に着いた時にすぐに階段へ降りれる扉がある車両を選んで乗り込んだ。
見慣れた景色を見つめながら数十分、やっと駅に着いた。
「先輩っ!!」
「うわっ?!城崎…?」
「待ちきれなくて、ホームまで来ちゃいました♡」
電車から降りた瞬間抱きしめられて、思わず焦る。
普段より人通りは少ないけど、通りすがる人には見られた。
「ちょ……、見られてるから……!」
「別に男二人の感動の再会くらいにしか思ってないでしょ。恋人だなんて、きっとバレませんよ。」
「そう…?」
じゃあいっか、なんて思って城崎の背中に手を回す。
あー、これこれ。
「………大好き。」
「ふふっ、俺もだーいすきです、先輩♡」
誰もいなくなったホームで、思わずキスしそうになって、でも理性が働いた俺は城崎の口を手で押さえつけた。
城崎はムッと口を尖らせていたけど、家に帰るまで我慢することにしてくれたようだ。
改札を出て、手を繋ぐ。
白い息を吐いていたら、城崎がコートのポケットに俺の手ごと突っ込んだ。
「恥ずかしい。」
「でもあったかいでしょ?」
「………うん。」
早く家に着かないかな…。
城崎もそう思ってくれてたのか、家に向かう歩幅は大きく、歩くスピードもいつもよりか心なしか早かった。
マンションのエントランスを抜け、エレベーターに乗る。
カメラがついていなければ、絶対ここでキスしてた。
我慢……、我慢…………。
あと数十秒待てばいいことなのに、お互いなんだかそわそわしてて、11階に着くなりエレベーターを飛び出て廊下を早歩きした。
鍵を開けた瞬間、連れ込まれるように腕を引かれて家の中に入る。
壁に押し付けられ、唇を奪われた。
「んっ、んぅ…っ、ぁ、城崎…っ」
「……………」
「ふっ…んン…、ぁ♡……ひぁっ、ぁ…」
激しいキスをしていたのに、城崎の顔が右の鎖骨へ移動する。
ジュッ…と強く吸われて、ビクンッと体が揺れた。
「はー…、やっと上書きできた……。」
大翔が付けたキスマークなんてどこにあったか分からないくらい、そこには赤くて大きいキスマークが付いていた。
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