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第450話

「とりあえずスッキリしたんで、ご飯食べましょうか。」 「へ…?」 城崎は俺から手を離して、リビングの方へ行ってしまった。 なんだ……。 てっきりこのままベッドに行くのかと…。 って、いやいや!俺ってば、何考えてんだ!? 「いい匂いだな〜……?」 「先輩が食べたいって言ってたから、オムライスですよ。」 ダイニングに着くと、ケチャップで大きなハートが描かれたふわふわのオムライスが運ばれてきた。 ご丁寧にスープもサラダも作ってくれていたようだ。 美味しくてパクパク食べすすめていると、城崎がいつも使ってるのより大きめのグラスなみなみにお茶を注いできた。 「こんな飲めるかよ。」 「冬でも脱水にはなるんですよ?しっかり水分とってくださいね。」 正論言われて否定することもできず、とりあえず出されたお茶を飲み切ると、またコップなみなみに渡される。 「城崎……、俺こんな飲めない……。」 「ダメ。飲んでください。」 「お腹チャプチャプなんだってば…。」 「じゃあ俺が飲ませてあげる。」 「んぅっ…!」 城崎はグイッとお茶を口に含んで、俺に口移しした。 溢れないようにするのが手一杯で、送られてくるお茶を全部飲み込む。 「も……、なんでこんなに飲ませるんだよ…?」 「あとで教えてあげる。先輩、お風呂まで1時間くらい何しよっか?チューする?」 「………する。」 前髪をよけて額に触れる城崎の指が気持ちいい。 目を閉じて心地よさを感じていると、城崎は俺からパッと手を離した。 ソファに座り、俺に向かって両手を広げる。 「先輩、おいで。」 「…っ」 堪らなくなって飛びつくと、城崎はあははっと笑った。 まるで壊れ物を扱うように俺を優しく抱きしめ、髪を梳いてキスをする。 体を擦り寄せると、城崎は微笑んだ。 「マジで可愛い。なんでそんなに可愛いんですか?」 「……可愛くないし。なぁ、チューしてくれるって言ったじゃん…。」 「しますよ。今から1時間たっぷりキスしてとろとろにしてあげます。」 「んっ…♡……ん…ふ…、んっ、ん…♡」 顎を支えられて、触れるだけのキスから少しずつ深いキスに変わっていく。 時々空いた手で頭を撫でられたり、耳に触れられたり、腰やお尻のラインをなぞられてゾクゾクした。 甘い声を出すと、それを飲み込むようにすぐに口を塞がれ、くちゅくちゅいやらしい音だけが静かなリビングに響く。 お湯はりが完了した音で、ハッと我を取り戻した。 「も…、もう一時間経った…?」 「はい。一時間後にできるように設定してたので。」 「嘘……、マジか……。」 「足りない?」 「…………」 無言で頷くと、城崎は俺を引き寄せて、満足いくまでたっぷりキスをプレゼントしてくれた。

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