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第461話

疲れ切ってヘロヘロになった俺を、城崎は優しく抱きしめる。 「先輩、汗すごいね?あとでお風呂入りましょうね。」 「ん…。」 しっとりと濡れた前髪を掻き分けられ、頬を撫でられる。 目を閉じると、それを合図に優しく唇が重なる。 「んぅ…♡んっ、ん…」 「可愛いね、先輩。」 「んン…、ぁ…♡」 城崎の舌がぬるりと俺の口内へ進入する。 的確に俺の好きなところを責めてきて、声が上ずった。 「好きだよ、先輩。大好き。」 「俺も…っ」 「世界で一番先輩が大好きです。」 チュッと音を立てて何度もキスをする。 幸せすぎて怖い。 城崎を抱きしめる手にぎゅっと力を込めると、そんな些細な行動一つでさえ気づいて、「どうしたの?」と優しい声で俺を安心させる。 「城崎はさ…、幸せすぎて不安になることない…?」 「ん〜……。不安にはならないけど、その幸せを維持できるように精一杯努力します。先輩が俺から離れていかないように、毎日どうしたら先輩が喜んでくれるかなって想像したり。」 「それって負担になってねぇ?」 「先輩の笑顔見るのが楽しみで、好きで毎日先輩のことばっかり考えてるんで、負担なんか全くないですよ?むしろ俺、先輩のこと考えてないと動けないし。」 「ほんと…?」 「本当です。今の仕事の原動力は先輩だし、料理だって体づくりだって全部先輩が原動力。先輩がいないと俺、使い物にならないですよ?」 城崎はくすくす笑いながら俺の髪を梳く。 大袈裟だ。 俺はそんな大層な人間じゃないのに。 でも毎日城崎が俺のために動いてくれてるなら、それはもちろん嬉しすぎるくらいなんだけど。 「俺幸せすぎて、明日死んじゃうのかなぁ…。」 「ちょ…?!縁起でもないこと言わないでください!!後追いしますよ?!」 「嘘だって。後追いとかそれこそ縁起でもねぇよ。」 「本気ですから!俺に生きててほしいなら、先輩が生きてることが大前提なんですからね?!もー。冗談でもそういうこと言うのやめてくださいっ!」 「悪いって…。」 ぷりぷり怒ってるけど、俺を抱きしめる力はさっきの倍以上。 痛いくらい強く抱きしめられてるけど、それが何だか心地いい。 「いなくなんないよ。城崎から離れない。」 「そうしてください。定年迎えても、100歳になっても、絶対俺から離れちゃダメです。」 「ぷっ…!100歳まで生きる自信はないかなぁ…。」 「ダメ。生きるの。超健康な生活して、病気なく過ごしてたらきっと大丈夫です。」 「認知症になって、城崎のこと忘れちまうかもしんねーよ?」 「先輩が俺のこと忘れても、俺は絶対に先輩から離れないです。………って、先輩?!」 あー……、やべ。 なんか幸せ過ぎて涙出てきた。 俺が泣いてるのを見ておろおろしている城崎。 困った顔を引き寄せ、キスをする。 「愛してるよ、城崎。」 「………っ///」 三が日最終日、俺たちは唇が腫れてしまうくらい、何度もキスをし続けた。

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