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第462話

「今年もよろしくお願いしま〜す!!」 年末年始も終わり、初仕事が始まった。 みんなそれぞれに新年の挨拶をして、デスクに着く。 「綾人〜、あけおめ。」 「涼真。あけましておめでとう。今年もよろしくな。」 「おう。番犬に吠えられない程度によろしく頼むわ。」 番犬って……。 たしかによろしくしすぎたら吠えられるな。 「望月さん!柳津さん!あけおめです!」 「こら。目上の人に略語使うな。」 「あけましておめでとうございますです!」 「はぁ…。あけましておめでとう。」 ちゅんちゅんは例のごとく、明るいはいいけど言葉遣いは年始早々説教ものだ。 みんなに挨拶したのち自分のデスクに戻り、デスクに置かれた赤入れされた山積みの資料を見て、涙目で固まっている。 クリスマスから年末にかけて急いで処理したのだろう。 ちゅんちゅんは雑なところがあり、もともと赤入れが多いので急いだならそれ以上だ。 「酷い……。」 「ドンマイ、ちゅんちゅん。」 「営業出る前に資料整理からだな。」 がっくりと肩を落としているちゅんちゅんを横目に、涼真と話を続ける。 「綾人は新年会行くの?」 「あー、行くよ。今日の18時からだっけ?」 「そうそう。俺は今日は暇だし行くけど、綾人はいいの?自由参加だし、帰っちゃえば?」 「部長もいるし、普段から世話になってる人も多いから行くよ。」 今日は新年会だ。 年越し前に忘年会したにも関わらず、スパンの短い飲み会。 部長クラスが飲み会好きだからだと思うけど。 新年会は自由参加で例年あまり人が集まらないので、数年前から複数部署合同の会になった。 「また秘書課の子が来たらどうすんの?忘年会怒ってたろ、あいつ。」 「今日は絶対城崎の隣キープするから大丈夫。あとはお世話になってる人に酒()ぎに行くくらい。」 「俺にも()げよ?」 「もちろん。」 涼真と話しながら作業していたら、いつの間にか結構時間が経っていた。 早い人は午前中から営業に出て行っている。 城崎もそのうちの一人で、午前中に出て、昼前にはサクッと契約をもぎ取って帰ってきた。 「先輩、お昼食べましょ。」 「おー。午後から俺もクライアントと待ち合わせあるから、その資料だけ最終確認していい?」 「もちろんです。隣座って待ってますね。」 城崎は俺のデスクの隣に椅子を持ってきて、俺のパソコンを覗き込むふりをして体を寄せる。 時々太腿に手を置こうとするので、パシっと手を払うと悲しそうな顔をしていた。 「集中できねぇ。」 「だって〜……」 「あとで触らせてやるから、今は我慢しろ。」 「やった♪」 城崎は「待て」を覚えた犬みたいにしっかり約束を守り、俺がパソコンを閉じると尻尾振りながらついてきた。

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