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第465話

「彼氏取られてご機嫌斜め?」 「千紗……。」 千紗は俺がさやから出した枝豆をパクパク食べていく。 「取るなよ。」 「いいじゃん。どうせいつもの癖でしょ?」 「はぁ?」 「嫌なことあると、さやから豆だけ出すじゃん。」 「マジ?」 「マジよ。別に食べたくて出してるわけじゃないでしょ?食べる時はいつも口までさやもっていって食べるじゃん。」 言われてみればたしかに……。 千紗と付き合ってる時からって、相当長い癖なのに自分で気づいてなかった。 「ごめんね、私のとこの後輩だ、あの子ら。」 「別に。」 「別にって顔じゃないし(笑)正直に言えばいいじゃん。俺の城崎に近付くな〜!って。」 「言えるわけねーだろ。」 「あはは。ごめんって。」 千紗は俺が剥いた枝豆を全て食べて、カシオレを飲んでいた。 城崎はまだ女の子の相手してっし…。 酒飲んでもバレないんじゃね? この際カクテルでもいいや。 「千紗、それ一口ちょうだい。」 「え?自分のは?」 「俺ウーロンなんだよ。」 「私はいいけど、怒られない?」 「バレないうちに早く。」 千紗からグラスを受け取り口を付けようとした瞬間、後ろから手首を掴まれる。 さっきまで女の子と話してたはずなのに、めちゃくちゃ怖い顔で俺のこと睨んでる。 手首痛ぇーし。 「先輩、何してるんですか。」 「………味見?」 「しらばっくれないでください。元カノと間接キスして俺が怒らないとでも思ってるんですか?」 「い、痛いっ!ごめんなさいっ!」 ぐにゃ〜っと手首を曲げられて、謝りながらグラスを離す。 城崎は俺から取り上げたグラスを千紗に返した。 「餌付けしないでください。」 「ごめーん。」 「あと、さっきの枝豆の癖、俺も知ってましたから。」 城崎はムッとした顔で千紗に言った。 え、城崎も知ってたんだ…。 早く言えよ、恥ずかしいな……。 と、俺はそのくらいにしか思っていなかったが、千紗が堪えきれないように笑い出した。 「ぷっ!あはは!ごめんっ、我慢できないっ!あはは!」 「な、なんだよ…?」 「だって…!城崎くん、私のがマウントに見えたってこと?プフ…っ!今更振った元彼のことでマウントなんか取らないってば!」 「そ、そんなこと思ってないだろ!な、城崎?」 「…………」 城崎に尋ねると、城崎はぷーっと頬を膨らましてむくれていた。 俺のお腹に手回して千紗から引き離して、まるで自分のものが他人に取られないように守るこどもみたいに。 「城崎、マウントに見えたのか?」 「………はい。」 「俺と千紗が今更くっつくわけないだろ?」 「でもなんか嫌だったんです…。」 可愛い……。 人目がなければ間違いなくキスしてた。 よしよしと頭を撫でると、少しだけ機嫌が良くなったようだ。 「お邪魔虫は退散します。」 「おー、じゃあな。」 千紗は場を荒らすだけ荒らして、自分の席へ帰っていった。

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