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第468話

翌日、俺はいつもより早い時間に職場に着いた。 「おはよ、綾人。」 「おはよう、涼真。」 涼真は俺より早く職場に着いて珈琲を呑んでいた。 「城崎は?」 「あー……。俺が勝手に先に出てきた。」 「怒られねーの?」 「知らね。」 もーやだ。 あいつの顔、今は見たくない。 「朝からなんか疲れてる?」 「なんで?」 「いや、薄らクマできてるから。」 「ぇ…、マジ?」 「うん。まぁいいや。はい、これ。」 「サンキュー。」 俺の分の珈琲も淹れて机に置いてくれた。 廊下から女性社員の黄色い声が聞こえてくる。 もしかしなくても、あいつが出勤してきたんだろう。 「おはようございます♡」 「おはよ…。」 超爽やかな笑顔で挨拶してくる城崎。 さっきまで隣で寝てたくせに、わざとらしい。 今日は何で特別キャーキャー言われているかって言うと、まぁ見ればわかる。 「なぁ、綾人。今日の城崎、なんかエロくね?」 「ぶふっ…!」 まさかの涼真に言われて、思わず珈琲を吹き出した。 ハンカチを出そうとポケットに手を入れるが、俺がハンカチを取り出す前に第三者が俺の口元を拭いた。 いや、うん…、あの……。 「城崎……」 「はい?」 「職場ではこういうこと控えろって…。」 さも当たり前かのように俺に構う城崎。 女性社員が悲鳴に似た奇声をあげている。 城崎は仕方ないな…という目をしてデスクに戻っていった。 「何なの?あれ」 「まぁ色々……」 いつもより肌も艶々で、オーラというかなんかエロくて、おまけにご機嫌な城崎。 理由は知ってる。 知ってるんだけど、親友の涼真にすら言いづらい。 「まさかとは思うけどさ。」 「言うな、涼真。分かっても言わないでくれ。」 「朝からエッチしてた?」 「……………」 ご名答。 いや、少しハズレ。 朝からというよりは、一晩中ずっとエッチしていたのだ。 昨日の新年会の後から、朝までずーっと。 騎乗位でたくさん運動させられて、そのあと城崎の暴走が止まんなくてめちゃくちゃヤッた。 おかげで寝不足だし、足腰立つのがやっとだし、腰が重だるすぎて今日はデスクワークと決め込んでいる。 「大変だな。」 「他人事だからって…。」 はぁ…とため息を吐いて、甘い珈琲を口に含んだ。

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