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第475話

待合に腰を下ろすと、様子を伺っていたらしい何人かの女性が俺のそばに駆け寄ってきた。 「あ、あの!城崎さんのご友人ですか??」 「はぁ…。」 身なりに気を遣っている綺麗な女性たち。 大人っぽい人から、少し派手な感じの人まで。 「城崎さんの連絡先教えてくれませんか?!」 「城崎さんって彼女さんとかいるんですか?!」 そんなことだろうと思った。 城崎、こんなところで知らない人にまでモテてるのかよ…。 「ごめんね。城崎は恋人がいるから、勝手に連絡先は教えられない。」 「「えーーー!?ショック〜〜〜!!!」」 丁寧に断りを入れると、女性たちはガックリした様子で去っていった。 いつもなら城崎みたいにモテる奴が俺なんかと…って、ネガティブになってたと思う。 でも、再三城崎に好きだと伝えられている上、さっき新田さんに俺の知らないところでも惚気てるなんて聞いて舞い上がってるから、今日はちゃんと断れた。 「あっ…。新田さんにお礼言うの忘れてた……。」 髪を切ってもらったお礼と、あといつも城崎を格好良くしてくれてるお礼。 ちゃんと菓子折りも買ってきてたのに…。 最悪だ。初めに渡そうと思ってたのに、城崎が持ってくれてたからすっかり忘れてた……。 雑誌を読んだり、少しうたた寝をしたり、適当に時間を潰しているうちに、城崎のカットが終わったようだ。 「お待たせしました。」 「城崎、……っ!」 格好良すぎて、思わず息を呑んだ。 新田さん本当に神なのでは…? なに?なんなの? 俺の彼氏、イケメンすぎるだろ……!! 「どうですか?」 「に…、似合ってる…よ……。」 「本当?じゃあ目合わせてよ。」 「い、今無理……っ」 無理って言ったのに、グイッと腕を掴まれて引き寄せられる。 目の前に顔があるから、否が応でも目を合わせるしかない。 「先輩、もう一回言って?」 「……………」 鼻先が触れそうなくらい近い距離に城崎の顔。 あー……、あ、だめだ、これ。 「先輩っ?!」 「望月さんっ?!!」 恥ずかしいことに、俺は城崎の顔を見て鼻血を出してぶっ倒れたのだった。

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