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第478話
「先輩のバカっ!!!」
「痛っ」
ブランケットを捲られると同時に頭を叩かれる。
えぇ…?俺、善処したよな…?
「拓磨さんがすぐそこにいるのに、どうやったら俺をイカせるって思考になるんですか?!」
「いや、だっておまえがデカくするから…!」
「そもそもこんなところでフェラし始めた先輩が悪くないですか?!」
「はぁ?!おまえだってノリノリだったじゃんか!!」
城崎と口論になる。
なんで?喧嘩したくないのに。
城崎のバカ。
バカバカバカ。バーーーカ!!!
「暴力振るう奴なんて嫌い。」
「えっ…、あ……、せ、先輩っ…?」
「俺のこと叩いた。」
叩かれたとは言っても、本当にツッコミくらいの力加減だった。
本気で叩いてないし、暴力だなんて思ってないけど、ただ何か言いがかりをつけないと負けた気がするから言っただけ。
「ごめんなさい。先輩、ごめんなさい……。」
「…………」
「痛かったですか?俺、先輩になんてこと……。ごめん。ごめんね、先輩…。」
「……別にいいよ、もう。」
「嫌いにならないで…。全部俺が悪かったです。ごめんなさい。」
病的なほど謝る城崎を見て、何だか心配になる。
ぎゅーっと抱きしめて、頭ぽんぽんってしてやると、やっと落ち着いたようだった。
「俺も悪かった。ごめん。」
「先輩……」
「嫌いなんて言ってごめん。嫌いじゃないし、別にさっきのも痛くない。」
「………うん。」
「そんなに卑屈になんないで。俺と城崎は対等なんだから。」
「……先輩、好き。大好き。」
「俺も好きだよ、城崎。」
チュッとキスをしていると、スタッフルームの扉が開いた。
「あれ……?お邪魔だったかな…。」
「あっ!?え、あ、あっ?!に、新田さん?!」
「出直そうか?」
「いえ!大丈夫です!!」
城崎の上から飛び退いて、隣に腰掛ける。
そうだった。新田さん、城崎のために温タオル作りに行ってくれてたんだった。
「夏月くん、お腹の調子は?」
「すっかり治りました。ご迷惑おかけしました。」
「それならいいんだけど。……ぷっ!あはは!望月さん、大胆すぎませんか?ふふっ…!」
「へっ?!」
「さっき起きてたでしょ?夏月くんの下でモゾモゾしてるから、まさかなーとは思ったんだけど、夏月くんが耐えてる顔してるし、嘘でしょ〜?と思いながら!あはは!」
「「…………」」
新田さんにはお見通しだったようだ。
大人なので詳しくは伏せてくれたが、この様子じゃ全て分かっていたらしい。
俺と城崎は顔を真っ赤にしながら、新田さんにお礼を言ってSpicaを後にした。
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