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第482話

うちのこたつは四角なので四辺ある。 一人ずつ座ればいいのに、城崎は俺の隣に座った。 「城崎さん、あっち座ればいいじゃないですか。」 「は?」 「………ごめんなさい。」 ちゅんちゅんがみんな思ったであろうことを口にすると、城崎の圧に押されてすぐに引き下がった。 結局城崎と俺が隣に座ったまま、ゲームをすることになった。 ちゅんちゅんが持ってきたのは、スタートからゴールまで人の人生を(なぞら)えたイベントをこなしていく双六(すごろく)ゲームだ。 それぞれが車のコマに男性を見立てた青いコマを挿して、スタートに並べた。 「ボードゲームなんて久々にする。」 「俺も。」 「そうなんですか?俺は毎年年末に家族でしますよ!」 「あー、やってそう。先輩は?こういうの得意ですか?」 「俺は弟が中学生になるまではしてたかな。」 大翔がまだ小学生だった頃は、よく家族みんなでやってた気がする。 懐かしいなぁ…。 「大翔元気にしてる?」 「うん。東京来たいって言ってるよ。」 「へぇ!もうそんな歳か?」 「再来年度に大学生になるんだよ。」 涼真と大翔は数回会ったことがある。 まだ大翔が中学一年生か二年生かそこらだったと思うけど。 城崎は自分の知らない話題で盛り上がられて気に食わないのか、涼真とちゅんちゅんが見えないところで俺の足を撫でたりとちょっかいをかけてくる。 「城崎…」 「なんですか?」 「悪かったから。触んのダメ。」 「ちぇ。」 城崎の手をペシンっと叩くと、仕方なさそうに手を引っ込めた。 じゃんけんをして勝った城崎から順に、ルーレットを回す。 「じゃあ専門職コースで。…………と、7ね。医者のカードをもらい4マス進む。」 「医者?!城崎さんずるいです!!」 「でも城崎なら似合いそうだよな。」 城崎が医者…。 白衣の城崎……。 やべぇ。絶対格好良いじゃん。 「先輩?次、先輩の番ですよ。」 「はっ…!お、おう。じゃあ俺も専門職コースにする。」 妄想してたら城崎に肩を叩かれ、慌ててルーレットを回す。 出たマス進めると、アイドルになった。 「先輩がアイドル…?!」 「うわぁ〜!望月さんまでいい職とった〜…。」 「ぶはっ!綾人がアイドル?ワンチャン似合うんじゃね?」 給料日マスまで進め、城崎と並んだ。 医者とアイドルって異色の組み合わせだな…。 そのあと、涼真は建築士、ちゅんちゅんは専門職コースを選んだにも関わらず10を出してフリーターになった。 城崎が3を出し、ツチノコ発見で5万ドルもらい、ちゅんちゅんは無駄遣いで3万ドル払う。 マスを進めるたびに城崎が金持ちになっていき、ちゅんちゅんは借金まみれになっていく。 ちゅんちゅんが半泣きになっているのを俺と涼真はゲラゲラ笑っていた。

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