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第487話

「いや〜、間に合ってよかったですね!」 「…………」 家を出たあと、腰砕けになった俺が走れるわけもなく、予定の電車を逃した。 乗り換えなどもあるので、少しずつ乗る予定をしていた電車がずれていき、空港には搭乗時刻ギリギリに滑り込み、やっと席に着いた。 家から駅、乗り換え、そして空港に着いてから搭乗口やらなんやらと走り続け、俺は只今息切れ中だ。 隣に座る城崎は涼しい顔してる。 腹立つ。これが歳の差か…。 「先輩、何か軽食食べますか?」 「いい…。気持ち悪い……。」 「なんか飲みます?」 「水…。」 城崎はCAにミネラルウォーターを頼み、俺に手渡した。 喉を潤して、城崎に渡す。 城崎の肩に頭を置いて目を瞑ると、今にも寝てしまいそうになった。 「可愛い…。先輩、寝ていいよ?昨日遅くまで、お仕事頑張ったもんね?」 「それより朝走ったことの方がしんどい…。」 「それはすみませんでした。」 「いいよ。」 公衆の面前なので甘えるのは自重する。 これも甘えてるように見られるかもしれないけど、肩に寄りかかるくらい許してほしい。 「向こう着いたら何しましょうか?」 「ん〜………」 「まずは鯛めし食べたいですよね。美味しいところ調べたので、そこに行きましょう。」 「ん。」 「そのあと松山城行きましょう。松山城の後は道後温泉に向かって、一旦ホテルに荷物置いて、温泉街の観光しましょうか。」 「わかったぁ…。」 スケジュールは全部城崎に任せ、俺は適当に相槌する。 適当とは言っても、ちゃんと話は聞いているんだけど。 鯛めし楽しみだなぁ。 眠気でふわふわした頭で、鯛めしを想像しながら涎を垂らしていると、城崎が耳元で囁く。 「夜は寝かせてあげる自信ないから、今しっかり寝てくださいね?」 「っ…?!」 「あ。起きちゃった。」 「ば、バカ!!」 逆隣に聞こえたらどうすんだ!?って飛び起きると、反対側の席に座っている人はイヤホン付けて、音漏れするくらい爆音で音楽を聴いていた。 ほっと安心してため息をつき、もう一度城崎の肩に頭を置く。 「寝ちゃうの?」 「今寝てろって言ったろ…。」 「起きたから、嫌なのかと思って。」 あー、もう…。 絶対分かって言ってるだろ、こいつ…。 「…………嫌じゃない。」 「ふふっ♪先輩大好き♡」 城崎はやっと満足したのか、俺にブランケットを掛けて、静かに本を読み始めた。

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