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第488話

ちょうど昼頃、松山空港に着き、そこからバスで松山市駅に到着した。 東京と違い人通りは少なく、のんびりとした空気が漂っている。 「ここが愛媛かぁ〜!」 「先輩、お腹空いてますか?」 「うん。」 「鯛めし、ここの近くなんです。行きませんか?」 「行きたい!」 バス停から少し歩いたところに、目的の店があった。 二組くらい待ったあと席に案内され、鯛めし二人前とお造り盛り合わせを頼んだ。 先にお造りの盛り合わせが運ばれてきた。 そのあと鯛のお刺身とご飯とタレ、あとお吸い物と茶碗蒸し。 食べ方が分からなくて従業員さんに尋ねる。 教えてもらった通り、鯛のお刺身をご飯の上に並べて薬味を乗せ、卵を溶かしたタレを上からかけた。 「めちゃくちゃ美味そう…!」 「美味しそうですね。頂きましょうか。」 「いただきます!」 んっっっま!!! 勢いよく顔を上げて隣を見ると、城崎が俺を見て微笑んでいる。 「先輩、目ぇキラッキラしてる。」 「だ、だって…!美味いだろ?!」 「はい。美味しいです。」 「やばぁ…。これ、明日も食べたいな。」 感動して、あっという間に完食。 城崎がトイレ行ってる間に会計を済ませると、帰ってきた城崎に怒られた。 いつも勝手に出してるくせに、俺が出したら怒るのはなんなんだ。 俺だって城崎のためにお金使いたいのに。 「先輩、次は俺が出しますからね!」 「今日と明日は全部俺が出す。」 「何でですか?!」 「だってホテルとか飛行機とか、全部城崎が出しただろ?ちゃんと俺にも言ってくれないと困る。」 「それは俺が勝手にしただけで…」 「だから俺も勝手にする。いいだろ?」 納得はしてなさそうだったが、俺も今回ばかりは譲る気がなかったので、城崎もそれを察して身を引いた。 昼食を終え、松山市駅周辺を散策。 ロープウェイに乗り、松山城へ。 現存12天守の一つだと有名だ。 城の作りももちろん素晴らしかったけど、城から市街を見下ろしたり、あと石垣も美しかった。 城崎も俺も男だからか、結構こういうのは心踊ってしまい、気づけば2時間以上は滞在していた。 「江戸時代に生まれてたら、先輩は城主とかやってたんですかね。」 「いや、それは城崎だろ。俺はそういうの無理だ、絶対。」 「毎日こんな綺麗な景色眺めて、何考えてたんでしょうね。今は平和だから、もし俺が城主なら先輩を側近につけてずっとイチャイチャしちゃいそうです。」 「何言ってんだよ、バカ。」 そっと俺の尻を触る城崎の手をぺしんっと叩くと、悪びれなさそうにベッと舌を出して手を退けた。 松山城を降り、路面電車に乗って、俺たちは道後温泉のある温泉街へと向かった。

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