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第490話
部屋に入り、すぐに唇を重ねた。
優しくて、温かくて、包まれるように気持ちいい。
舌を突き出すと、城崎は優しく絡め、俺をもっと快感の高みへと連れていく。
「ふっ……、んぁ…♡ぁ…」
「………はっ、可愛い…。」
「んんっ♡ぁ、んぅ…」
城崎は俺の腰をしっかりと抱きとめ、離れないように引き寄せる。
時々背中を撫でる城崎の手に、ゾクゾクと快感が走り、甘い声をあげてしまう。
「すげー可愛い。キスだけじゃ止まんなくなりそう…。」
「い…いよ……?」
「もう。すぐそうやって俺のこと誘惑するんだから。先輩は悪い人ですね。」
「……シねぇの?」
「今は、ね。観光したあと、浴衣脱がす楽しみとか、露天風呂とかたくさん楽しみはありますから。今は我慢します。」
城崎はチュッと音を立ててキスして、俺から体を離した。
下が反応してる気がするのは俺の気のせいではないと思うけど、城崎がいいと言うんだから仕方ない。
少し残念に思いつつ、観光モードに切り替えようと顔を上げると、部屋の豪華さに驚いた。
「すげぇ!和室!!中庭!!露天風呂!?」
「だから言ったでしょ。部屋付き露天風呂とかじゃないと俺が嫌だって。」
「また高かったんじゃないの?!」
「気にしないでください。ヴィラよりは全然安いので。」
「あれが高すぎただけだろ!!」
「だって先輩と初めての旅行だったんだもん。」
あの時は本当びっくりしたもんな。
いや、今回もなかなか凄いけど…。
「貸切風呂はないので、今回は部屋だけですよ。」
「なぁ、調べたらここの大浴場すごいって…。」
「だーめ。行こうとするなら、足腰立たなくなるまで抱き潰しますけど?」
「………諦めます。」
城崎は多分本当にやる。
というか、まぁ下の毛つんつるてんにされたから、大浴場には恥ずかしくて行けるわけないんだけど…。
ああ。行きたかったな……。
「さて、気持ち切り替えて観光行きましょう。」
「浴衣は?」
「下で着付けしてもらいます。寒いから温泉街歩く時は丹前とプラスアルファですね。」
「わかった。………なぁ、行く前にもう一回だけキスしてもいい?」
「もちろん。」
城崎に近づいて、首に手を回してそっと引き寄せる。
唇が重なり、ふにふにと感触を確かめてから、城崎の唇の間に舌を滑り込ませる。
俺が求めると、城崎はちゃんと受け入れてくれるから、俺は思う存分城崎とのキスを堪能した。
「満足した?」
余裕そうな笑みで尋ねられ、少しムキになりそうになったが、ぐっと我慢して頷いた。
満足はした。
城崎をその気にできなくて悔しかっただけで。
「じゃあ着付けてもらって、温泉街散策しましょうか。」
「おう!」
俺たちは鍵を持って部屋を後にし、ロビーへ向かった。
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